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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード11

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EP11-9 - 囮役と最後のピース

「お父様が仰っていることはわかりました。ですが、この前危ない目に遭ったばかりのフィニティを囮に使うのは……」


 あまりやりたくないことである。エリーは言葉を濁したが、その意思を作戦の立案者である父へと伝える。勿論、彼女じゃなければ問題ないという話ではなく、誰で会っても同じだ。


「わかっている。囮役の安全は確実に確保したうえでの要請だ」


 娘が感じた懸念点を汲み取ってなお、理事長であるスーンは厳格な口調なままだった。その振る舞いは言葉通りの確実な作戦が既に用意されているようにも感じられる。


「流石理事長様じゃのー」

「それでお父様、その安全を確保する作戦とやらは一体?」

「……」


 スーンは口を開かない。腕を組んだまま無言を貫いている。


「お父様?」

「策はまだ思いついていない。これから考える」


 思わせぶりな態度を見せておきながら、彼にはまだ策はなかった。特に対策がないのに協力要請をするのはあまりよくないのではないのだろうか。心の中でそう思ったものの、口には出さない娘エリーだった。

 さて、囮役になる人物の安全を確保するにはどうしたらよいだろう。警備を固めたり、魔法を防ぐための防具を身に纏うなどは思いつく。しかし、相手はあのドアンドだ。そのような単純な対応で上手くいくものだろうか……。誰もがそう考えていた時に、ある夫婦が手を上げる。


「安全策に関してはワシらに任せてくれんかの」

「作戦に合わせて、わたし達の魔法で何とかしてみせるわ」


 ゲシハーとサオエルの二人が自信ありげにそう言った。時代を超えた技術を持つ彼らならば、何とかしてくれるのではないかという安心感が感じられる。


「フィーもそれでいいかの?」

「うん。じっちゃん達が守ってくれるなら、あたしは問題ないよ」


 これで表に出るのはフィニティということが決まった。あとはいかにして、ドアンドが気を引くような話題を提供するか。それさえ決まれば、作戦を実行できそうなものなのだが。


「ドアンドの興味があるものと言ったら古代魔法だよね」

「そうだな。だが、古代魔法と直接宣伝するのは避けなければならないんだろう?」

「うむ、その通りじゃ」


 何度か議題に挙がっているが、古代魔法は世間一般に置いて未知の技術とされている。そのため古代魔法という単語は使わず、あくまで普通の魔法としてアピールする必要があるのだ。


「ある効果の魔法を披露する、などといった表現に変えなければなるまいな」

「でも、普通の魔法じゃドアンドを引き付けられないよね」

「うむ。そこを上手く考えねばな」


 ドアンドが気になるような魔法。そのことさえ考えることができれば、作戦の材料はすべてそろう。最後のピースを手に入れるため、この部屋にいる一同は思考を巡らせるのであった。

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