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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード11

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EP11-8 - リスクを考えて

 マージ・モンドの知名度を生かしてドアンドをおびき寄せるための作戦を考え始めた一同。どうすれば確実に彼を自分たちの前におびき出すことができるか、各々の意見が飛び出していた。


「ゲシハーさんをうちの学校の教員って紹介をするのはどうでしょう?」

「どゆこと?」

「新しい優秀な教員が入った、という体で宣伝するの。ゲシハーさんの名前も出せるし、マージ・モンドの知名度も生かせる。良い作戦だと思わない?」


 エリーは笑みを浮かべつつ自身満々な声で提案をした。確かに彼女の案だと、ゲシハーの存在と学校の存在の両方をアピールすることができるはずだ。しかし、理事長であるスーンが首を横に振る。


「駄目だ」

「お父様?」

「ゲシハー殿を教員として紹介するとなれば、その後正式に我が校に所属していただかなければならない」

「あっ」


 スーンの言うことは尤もだった。ゲシハーをマージ・モンドの教員としてアピールした場合、彼を雇用することができなかったら虚偽の宣伝となってしまうだろう。勿論この老人が教師になってくれると言うのであれば話は別だが、彼の表情を見る限りその可能性は全くなさそうだった。


「ですが理事長、学校の知名度を生かしながらゲシハーさんをアピールをするとなると、エリーの案くらいしかないんじゃないですか?」


 シャータが手を上げて意見を述べる。他の生徒たちも同じ意見のようで、理事長の方を見ながらうんうんと頷いていた。


「ふむ」


 生徒たちの意見を聞いてスーンは顎を指で擦った。どうやら思考を巡らせているようだ。しかし数秒後、考え事をし終えたスーンは指をとある少女の方へと向けた。


「フィニティ・フレイン。君の力を借りたい」

「え?」


 まさか自分に話が振られるとは思っていなかったようで、フィニティは素っ頓狂な声を出した。スーンは未だ彼女に指を指し続けている。


「既に我が校に所属している君ならば、先ほどの問題は回避できる。それにもし問題があり、君が学校を退くことになったとしても生徒が一人抜けただけだ。世間的に問題にはなるまい」


 確かにそうだ。先ほどゲシハーが行うはずだった作戦をフィニティが行うことで、先ほどの所属の問題や、リスクを抑えることができる。ドアンドをおびき寄せるという点でも、彼女の名前ならば十分彼の気を引くことが出きるはずだ。

 だが、スーンの案には一つ大きな問題がある。表に出る以上、一番危険な目に遭う可能性が高いということだ。つい先日命の危機に直面していた彼女に、そんな役を任せるのはいかがなものか。そういった考えが、一同の中に生まれていた。

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