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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード11

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EP11-2 - 力の意味

「しっかし、授業を受けると一気に日常に戻った感じがするな」


 午前の授業を受けて今は昼休み。

 ランチを食べるため、フィニティとハジメの二人は食堂へ向かおうと教室を後にしていた。


「今まで日常的じゃありませんでしたか?」

「そりゃあ、お前が死んだり玉の中から爺さんたちが出て来たり、驚いてばかりだったさ」

「あ、そうか。あたし死んでたんですよね」

「おう。今は何ともないんだろ?」

「この後何を食べようか、っていうことしか考えていないくらいは余裕がありますね」

「そうか。良かったな!」


 エリーやシャータがいたら一言二言ツッコミが入りそうなやり取りをする二人。彼らは笑い声をあげながら食堂へ足を進めていく。


「それにしても、複製魔法に時空魔法か。全く想像がつかん魔法を古代では扱っていたんだな」

「そうみたいですね。あたしにはいまいちピンときませんが」


 フィニティは祖父母によって古代魔法を学んでいた少女だ。実際に使用することはできないものの、全く古代魔法を扱えないハジメと比べると漠然とした魔法のイメージは脳内に浮かんでいた。


「ハジメさんは古代魔法を使いたいと思いますか?」

「今話していた複製魔法とか時空魔法とかのことか?」

「はい」

「うーん。時間を巻き戻せたりしたら楽できそうだとは思うけどな」


 イエスでもノーでもなく、ハジメはそう答える。


「でも、俺だけがそういうことができるってんなら、なんかずるいような気がするんだよな」

「ずるい?」

「おう。俺だけ時間を好き勝手移動できるってなったら、俺だけが得をするってことだろ。他の奴らは時間が前に進む中でしか生きられないっていうのに」

「確かにそういうことになると思いますけど」

「だろ。それって平等じゃないだろ。もし俺だけが特別な力を手に入れたとして、それで誰も得をせず、俺だけが得になるって言うなら、俺は多分その力を使わないと思うけどな」


 ま、魔法を使うことで家族が救えたりするなら使うかもな。そう最後に付け加えてハジメはどこか照れたような笑い声をあげた。自分が言っていることが綺麗事だと思っているようだ。

 しかし、それを聞いたフィニティは素敵なことだと感じていた。自分だけが得をする力、それを使っても人類にとっても世界に対しても意味はない。昔祖父に言われた力の使い方について、もう一度考えるフィニティであった。

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