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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード10

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EP10-8 - 古代からの逃避行

「……すまぬ、話が逸れてしまったのう」

「いえ、お気になさらず。そのような時代もあったんだと勉強になりましたから」


 影響の強い古代魔法を肯定する派閥がより過激になっていき、使用するかどうか議論中だったのにもかかわらず、命を複製するような魔法を勝手に使用していった。しかしそれは上手くいかず、生命とは言えないような肉の塊が生み出されたという。


「とはいえ、ワシらが逃げ出した理由の始まりがそれでの。肯定派の動きが過激になると、否定派を排除しようと動く輩も出てきたのじゃ」

「排除……ですか」

「なにやら物騒な響きじゃのー」

「うむ、そこの魔女っ子のお嬢さんの言う通りでの。力づくでの排除をし始めたのじゃ」


 スーンとリーバの相槌に反応を示すゲシハー。

 力づくでの人間の排除。その言葉をどう解釈しても安全な表現とは思えない。もしかすると、それは殺人、なのだろうか。


「肯定派は否定派の中で権力の強い者を亡き者にしていってのう」


 ――まさか本当にその通りだとは思わなかった。現代で生きる一同は、皆心の中で呟いた。どうやらゲシハー達が生きていた時代は、想像以上に殺伐としている時代のようだ。


「自慢ではないが、当時のワシらは権力を持っていたほうでの。命の危機を感じたワシらは時空魔法での逃避を決意したのじゃ」


 ゲシハーが言うには、彼は当時の魔法学の中で最先端の魔法を研究しており、様々な魔法を熟知していたらしい。それだけでなく夫婦揃って魔法力が高く、習得して使用できた魔法の数も多かっただとか。


「ワシら、というのはゲシハーさんとサオエルさん、あとはフィニティの三人ということですか?」


 センはそう質問したが、それは念のため現状を確認するための問いのつもりだった。その通り、ここにいる三人のことじゃ。そう言われると思っていた彼は、次のゲシハーの回答に少々驚くこととなる。


「……いや、もう一人いてのう」


 もう一人? 答えを聞いた一同の頭の中にクエスチョンマークが浮かぶ。

 今ここにいる古代からやってきた人物は三人だけのはずだ。当時を生きていたゲシハーとサオエルの夫妻、そしてその孫を基に創られたフィニティ。他にいるとしたら、一体誰なんだろうか。


「その一人はここにはいないわ」


 皆の疑問を肌で感じ取ったのか、サオエルがそう補足する。その声はとても低く、この話題の中でも一際悲しみを抱えているように感じられる。

 そして次に口を開いたゲシハーの声。その中には大きな怒りが含まれているように思えた。


「……四人目の人物はオコサ・フレイン。フィニティの母親、ワシらの娘じゃ」

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