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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード10

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EP10-4 - 明かされる治癒魔法

「フィーの基の人物……オリジナルとでも言おうか、その娘は生まれつきとある病気にかかっていての。薬による治療では治すことができない状態じゃった」

「それを治すために、治癒魔法なるものを使おうと考えていたらしいわ」


 治癒魔法。それはフィニティがこの学校に来るきっかけとなった魔法だ。現代には存在しないその魔法は、古代からの出自だったようだ。


「ですが治癒魔法――、人を治すための魔法であれば存在しても良いのでは? 命の複製などといった倫理に反するものではないでしょう?」


 センが言ったその意見に、現代で暮らしている者たちが全員頷いた。医療の発展は人類の発展と同義だ。薬や治療法の発展によって病気に打ち勝つことができるようになり、人類全体の寿命が延びた。その発展に魔法が加わり、より医療が発展するのであれば、それは願ったり叶ったりだろう。

 しかし、センの言葉を聞いたゲシハーはどこか困ったような表情を浮かべた。そのまま彼は、再び口を開く。


「チャーティー先生と言いましたか。王都に来る前、ワシが貴方に言ったことを覚えておりますかな」

「言ったこと?」

「うむ。貴方がワシに治癒魔法が使えるかと問うてきたじゃろう。その時にワシは、治癒魔法は古代にも存在しないと言ったはずじゃ」


 ……そうだ。確か転移門に潜る前、そんなやり取りをした。

 センが彼らを探し始めたのは、フィニティを治すための治癒魔法を使えるのではないかと考えたからだ。そのため、出会ってすぐに治癒魔法を使えるのかとゲシハーに聞いたところ、救う手段に心当たりはあるが治癒魔法自体は存在しないと言っていた。そのことはその場にいたリーバやハジメたちも聞いている。フィニティを救うことができて安堵していたこともあり、すっかり忘れていた。

 しかし、そうなるとおかしいところがある。フィニティが使えると言っていた治癒魔法とはなんなのだろうか。それにドアンド……フィニティの父親が扱うつもりだったという治癒魔法についても疑問が残る。彼が使おうとしていたということは、結局古代魔法の中にも治癒魔法があったということになるのではないか。

 そんな彼の考え事は、すぐに答えが見つかることになる。


「では、その治癒魔法とは何なのか。その正体とは複数の魔法を平行して使用することで、体の部位を入れ替えるという力技なのじゃ」

「平行……ですか?」


 異なる魔法を掛け合わせる複合魔法とは違い、平行して魔法を唱えるという行為。その行為について、エリーはいまいち想像がつかなかった。

 つまりは一つの魔法を唱えながら、もう一つ魔法を詠唱するということなのだろうが、そんなことができる人はいるのだろうか。そもそも一つの魔法を唱えることすらかなりの集中力が必要だと言うのに、複数の魔法を唱えるなんてできることなのだろうか。


「それで、その幾つの魔法を平行するのですか?」

「四つじゃ」


 質問をしたエリーは耳を疑った。

 四つの魔法を平行して発動する? そんなの魔法力が持つわけないじゃないか。

 しかしゲシハーは淡々と話を続ける。その様子が、ドアンドの言う治癒魔法――力技による治療行為が存在する可能性があったことを物語っていた。


「時空魔法と生成魔法と転移魔法と融合魔法。この四つを平行して扱うことで治療ができる。ドアンドはそう語っていたのじゃよ」

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