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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード10

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EP10-1 - ユニヴァース・ロストの時代とは

 自分たちは古の時代から時空を超えてやってきた。ゲシハーという老人はそう言った。恐らく魔法によってやって来たのだろうが、時空に関する魔法など聞いたことがない。しかし、これまで彼らが見せてきた現代には存在しない魔法の数々を思い出すと、彼らの言うことにも納得ができる。


「時を超えた……。一体いつの時代からでしょう」

「うむ。その通りじゃ。しっかり調べたわけではないが、元々ワシらが過ごしていたのは大体二千年ほど前でのう」

「二千年前……!」


 スーンの質問にゲシハーは答えた。二千年前、それはまさしく古代と呼ばれている時代であり、とある名前が付けられた時代だ。


「ユニヴァース・ロスト……。失われた時代からやって来たというのか」


 ユニヴァース・ロスト。今から二千年前の謎に包まれた時代。

 古代とも呼ばれているその時代にも魔法があった。しかし、それがどのようなものだったのかは全くわかっていない。ユニヴァース・ロストの時代の魔法は現代の魔法と使われている文字や詠唱文が異なっており、古文書や石板が発掘されたとしても解析が進まないためだ。


「うむ。今の時代ではワシらの時代のことをそう言うらしいのう」

「まさか古代の人間とこうして話ができるとはのー。光栄じゃわい」


 元から古代魔法に対して興味関心があったリーバは嬉しそうにそう言った。そんな彼女とは対照的に、真剣な表情のスーンが手を上げる。少し前のような鬱々とした雰囲気はもうこの場に残っておらず、あるのは好奇心と、フィニティが助かったことへの安堵だった。


「……聞きたいことがあるのだが、後回しにしたほうが良いでしょうか?」

「構わないよ。言ってごらん」

「感謝します。質問ですが、ユニヴァース・ロストの時代に何があったのでしょうか」


 ゲシハーが答える前に、スーンはもう少しだけ話を続ける。


「ユニヴァース・ロストの時代の遺跡から古文書が発見されることはありますが、記載されている文字は現代では全く使われていないものでした。使われていないどころか、文字の形や文法も全くの別物となっています」

「ふむ」

「最近の研究ではこう考えられています。ユニヴァース・ロストの時代を区切りに文明が一度崩壊したのではないか、と」

「うむ。続けたまえ」

「しかし、この世界で最も大きな文化である魔法。それは古代にも現代にも存在します。そうなると文明は崩壊したのではなく、やはり受け継がれていたのではないかと、わたしは考えています。つまり……」


 スーンは一度息を吸い、間を開けてから質問の続きを語る。


「文明は崩壊したのではなく、意図的に全てを封じ込めたのではないか、と」

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