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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード2

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EP2-11 - 規格外なその子

「なんですか、それ」


 センに呼ばれて駆けつけたフィニティは、彼が両手で抱えている謎の道具について言及した。縦の大きさが約八十センチメートルほどの透明な筒の中に、見たことのない石が入っている。筒には色が異なる幾つかの線が引かれており、筒の上に行けば行くほど線の色が濃くなっていた。


「測定器ですね」

「ソクテ?」

「その人が持っている魔力の強さを測る機器ですよ。筒の中の石に魔力を込めると浮かぶようになっているので、どれだけ浮かせられるかでその人の魔力がわかるということです」

「ふーん?」


 説明をしてくれたエリーによると、筒の真ん中にある橙色の線まで石を浮かべさせることができればこの学校への入学が許可されるとのことだ。その上に引かれている赤色の線、概ね筒の下から六十センチメートル付近に引かれているその線まで浮かせることができた場合は、特待生として学費が免除されるとのことであった。


「つまり、石を赤い線まで浮かべさせればいいんですね?」

「簡単に言いますが、難しいですよ。私が入学したときは真ん中よりちょっと上の方までしか浮かせることができませんでした」

「それでも十分だよ。中心の線まで浮かせることができず、入学できなかった生徒だって多いんだぞ?」


 じゃあこの子に浮かせることはもっと難しいことなのでは。エリーは心の中でそう呟いた。


「さぁフィニティ、やってみてくれ」

 

 床に置かれた測定器の前へ立ち、手を掲げるフィニティ。その手の先に小さな魔法陣が現れ、筒の中にある石が光り出す。魔法の力が石に注がれているのだ。

 石はプルプルと小さく震え、やがて重力を無視してゆっくりと上に向かって動き出す。筒の真ん中に引かれた橙色の線に向かって。


「あー確かに意外と難しいですね」

「……余裕そうですね」


 エリーが言うように、難しいと口にするフィニティだがその表情は普段のそれと変わらない。魔法を使うという行為は体を動かさないが、それでも体力は消費される。今回のように魔法力を測定するため、力を込めるとなれば、歯を食いしばったり手に力が入ったりするものだ。しかし、このフィニティという少女は顔色を一切変えずに魔法力を注ぎ続けている。


「難しいですけど、できなくはなさそうです」


 そう言うと、フィニティはかざした手をより大きく開いた。すると手の先にある魔法陣が大きくなり、筒の中にある石の動くスピードが速くなっていく。

 石は橙色の線を越え、赤色の線までたどり着いた。にも拘わらず、石は止まらない。そして。


「あ、上まで行きましたね」


 こつん、と石は筒の上部にぶつかった。一番上まで浮かせることができたのだ。その様子を見ていたエリーは絶句する。この子、一体何者なんだ。

 これほどまで強大な魔法力を持った人間なんて、世界中を探しても珍しいはずだ。それに少女の年齢を考えるとより強い魔法力を得る可能性だってある。そんな存在が、今まで人が住んでいないと言われていた山で暮らしていたというのだ。ただの偶然、なのだろうか。

 フィニティを見るエリーの目が変わる。目の前にいるこの少女は少なくとも普通の存在ではない。今後彼女がどうするのかはわからないが、気にかけておいた方が良さそうだ。そうエリーは心に決めた。

そろそろエピソード2も終わりそうですね。

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