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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード9

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EP9-21 - 死人に与える物

「ありがとう、サオエル。それでは埋め込もう」

「埋め込む……?」

「まあ見ていなさい」


 ゲシハーは先ほどと同じだと思われる魔法を唱えると、フィニティの魔核を握っていた手が光り出した。同時にフィニティの腹部も光り輝き、手の光の大きさが小さくなるにつれて腹部の輝きが大きくなっていく。やがて手の光が完全に消えると、腹部の光は大きくなりフィニティの全身を包み込んだ。


「この光は……?」


 センの疑問にゲシハーは答えない。その次の光景が答えになると考えていたのだろう。

 やがてフィニティを包んでいた光も消えると、驚くべきことが起きた。とある少女の目が開いたのだ。

 先ほどまで、死んでいると判断されていた少女だ。


「……ん」

「えっ……」


 フィニティが目を開けた。そのまま上半身を起こした。キョロキョロと周りを見渡した。

 ――フィニティが生き返った。


「おぉっ、フィー。久しぶりだなあ」

「じっちゃん……。じっちゃん……?」

「そうじゃ。サオエルもおるぞ」

「ばっちゃん! じっちゃん! 会いたかった!」


 少女は二人の老人に抱き着くように、先ほどまで倒れていたとは思えないほどに元気よく飛びあがった。それを見ていた他の人物たちは、起きている事象についていけていなかったようで、唖然とした様子で三人が抱き着くのを眺めていた。


「ま、待て」


 そんな中、最初に声を上げたのは少女を診た医者だった。彼は珍しく慌てた感情を前面に出し、自分が死んだと判断した少女の下へと駆け寄る。


「明らかに身体機能は停止していた。お前は魔力の流れが止まっていたんだぞ」

「えっと……誰ですか?」

「フィーを診察していた医者だよ。お前はついさっきまで倒れていたのじゃ」

「へー。そうなんだ」


 まるで他人事のように言うフィニティ。つい先ほどまで死の間際をさまよっていた、いや死んだと判断されていたとは思えない台詞だった。

 医者はフィニティを再びベッドに寝かせ、診察を開始する。すると止まっていたはずの少女の心臓、魔臓が、今は正常に動いていた。


「馬鹿な……!」

「医者殿。困惑させてしまいすまない。我々、いやフィーは少々特殊な存在なのじゃよ」

「そういえばさっき、人工生命体って……」


 フィニティが生き返ったためだろう。涙が止まったエリーは少女の祖父母の近くへと歩み寄り、話を聞こうとした。鼻水は止まっていなかったので、フィニティが渡したティッシュペーパーで鼻をかんでから話を聞くことにした。


「そうじゃな。話すとしよう」


 とある病院の一室で、ゲシハーは語り始めた。

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