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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード2

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EP2-10 - 散らかった部屋にある古文書

最近あまり本を読んでいないので、いい加減インプットしないとまずいですね……。

 マホウジッケンシツというのは随分ごちゃごちゃした場所なんだな。フィニティが部屋に入り、最初に抱いた感想がそれだった。

 センとエリーに連れていかれ、たどり着いた魔法実験室。複数の生徒がグループとなって魔法の実験をするために作られたその部屋は、大きめの机が十数個ほど設置されており、その上には鉱石や試験管などが乱雑に置かれていた。センによると、四人ほどのグループとなってその机の上で実験などを行うとのことだ。他にも壁際にある棚には薬草や鉱石、動物の骨と思われるものが陳列されており、なにやら複雑な見た目をした機材なども用意されている。先ほどまでは見たことのない設備に興奮していたフィニティだったが、今回はあまりにも景色の情報量が多いせいか、疲れたような表情を浮かべていた。

 先ほどフィニティが連れていかれた教員室という場所も、比較的物が多い場所であった。しかしあそこは整理整頓がされており、見た目としてはスッキリとした印象を持つことができたのだが、この実験室は物が適当に置かれていて散らかっているようにしか見えない。まるでじっちゃんが使っていた押し入れのようだと、彼女は自分の祖父を思い出していた。


「うわ、ひっどいな。実験室を使ったら掃除しろって生徒にはいつも注意しているはずなのに」

「生徒会長に伝えておきましょう。あの人が言えば皆も少しは反省するでしょう」

「教師の僕が言うよりも生徒会長が言った方が効果あるのか……」


 どうやら普段はここまで散らかっていないらしく、二人は溜息を吐きながら部屋を片付けていく。フィニティも何か手伝おうかと考えたものの、そもそもどこに何があったのかわからない彼女は何の役にも立つことができなかった。手持ち無沙汰となったフィニティは、二人の邪魔にならないよう部屋の中を見学することにした。


「あれ、これって」


 フィニティが幾つかの机を見ながら歩いていると、そこには一冊の本が置かれていた。本を手に取り周囲を見渡してみるがこの部屋には本棚が見当たらない。どうやら前にこの部屋を使った生徒が、別の場所から持ってきたようだ。

 タイトルは『魔法の基礎について』。フィニティはそのまま中を読んでみるが、内容は彼女も知っているものばかりだ。それどころか、彼女は一度この本を読んだことがある。彼女の祖父が同じものを持っていたのだ。魔法の学校といえど、意外と初歩的なこともやっているんだなとフィニティは思った。


「よし、こんなものだろう。フィニティ、こっちに来てくれ」


 どうやら片づけが終わったらしい。名前を呼ばれたフィニティは読んでいた本をその場に置き、見たことのない機械を持つセンの下へと駆けよっていった。

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