表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード9

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

179/234

EP9-14 - 頭脳担当な二人

 ワイルの述べた考えを理解した一同は、先に行動を起こしていたリーバの背中を見る。古文書に記されている幾つかの単語には、既に意味をメモ書きしていたとはいえ、本の頁は約五百ほどもある。その中で封印を解く魔法を探すとなると、これまたかなりの時間を要することになりそうだ。


「何か手伝えることは……」


 ハジメはそう言いかけたものの、封印について書かれた本は一冊しかない。下手に横から手伝おうものなら、逆に邪魔となってしまうだろう。

 ならばリーバに全てを任せて休むべきだろうか。そうするしかないのかもしれないが、罪悪感がその選択肢を選ばせてくれない。そんな中、ハジメは今行っていることの問題に気が付いた。


「ところで、封印を解く魔法を見つけたとして、それは古代魔法なんだろ?」

「当たり前のことを聞くなよ」


 何馬鹿なことを、とでも言いたげな呆れた表情でワイルは言う。


「古代魔法について書かれている本なんだ。そうに決まっているだろ」

「じゃあ、見つけたとしても唱えることはできないんじゃないか? 古代魔法を使える人間はいないだろ?」

「それは……」


 その通りだ。とワイルは思う。寧ろ提示されたその問題については、古文書の中から魔法を探すことを提案した時から気が付いていた。見つけたところで唱えることのできる人物がいないのであれば、意味がないのではないかと。


「……他に方法が思いつかないのだから、仕方がないだろう」

「責めるつもりはないぞ。お前と違ってオレ達は何の解決法を見出していないんだ。だが、見つけたときのことを考えた方がいいな」

「見つけたときって、どういうことだ」

「見つけた魔法を唱えなければならないだろう。古代魔法を使えるようにするか、それとも現代魔法に変換することができないか、どちらかの方法を模索する必要があるんじゃないかと思ってな」

「……なるほど」


 ハジメの言うことは尤もだ。古代魔法を扱えないのであれば、それを自分たちが使えるようにするしかない。

 過去にワイルたちは雪を降らせる古代魔法を見たことがある。現代魔法にも雪を降らせる魔法があることを考慮すると、古代魔法と現代魔法は詠唱文が異なるだけで、同じ効果の魔法を唱えることができる可能性がある。


「他に古文書はあるか?」

「ん? あぁ、幾つか持ってきているが」


 ワイルは生徒会長が取り出した本を奪い取ると、ペラペラとページを捲った。その本は白い玉に書かれている魔法が何なのかを調べる時に使用したものであり、リーバが手にしている本ほどではないが、幾つかの単語に意味が書かれている。


「僕がこの本に書かれている内容を現代魔法に直せないか、試してみる」

「できるのかそんなこと」

「試してみると言っただろう。できるかどうかはやってみなければわからない。だが」


 ワイルは眼鏡を外し、レンズを拭いた。これは彼なりの集中するための方法だった。


「本気でやる。ショージュ、手伝ってくれ」


 本を開いた彼は床へと座り、ブツブツと呟きながらページを捲っていく。どうやら自分の頭の知識と、目の前の古文書の意味を比較しているようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ