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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード8

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EP8-17 - 推測が重なった先に

「フィニティの生い立ち、のう」

「確かに彼女の生まれは特殊すぎるな」

「そうなんだよ。助ける手がかりってわけじゃないけど、ちょっと引っかかるなって思って」


 彼女を知ることにもう戸惑いはない。もしフィニティを知ることで彼女を助けられるのであれば、自分たちの知らない彼女の情報が出てきても構わない。そう思いながらシャータは自らの違和感を二人に伝えた。


「どう。フィニティの家に何か実験器具とかなかった?」

「普通の生活用品しか見当たらなかったのー」

「もしかしたら本に何か書かれていたかもしれないけど、僕らには読めないからね」


 小屋の様子を思い出しながら、センとリーバはそう答えた。自分たちでは気が付かなかっただけかもしれないが、少なくとも一見して監禁などの意図で作られた建物ではなさそうだったとセンは補足する。


「そっかあ。他に何か違和感とかなかったの?」

「違和感、といえば……」

「あったの?」

「あぁ。フィニティが残した書置きが無くなっていたんだ」


 彼女が家を出る時に残していった書置き。それが彼女の家から消えていた。小屋に荒らされた形跡がないことからただの盗人ではなさそうだが、小屋の頑丈さから風でどこかに飛んでいった様子でもなさそうだった。そうセンは答える。


「僕の予想だけど、あの黒いコートの人物が奪って行ったんじゃないかなって」

「どういうこと?」

「山を下りながら話していたんじゃがの」


 センとリーバの二人は、黒コートの人物はとある本を探していたのではないかと言う。その本はフィニティ、または彼女の祖父母が所持しているものであり、本を盗むためにフィニティの家に侵入したのではないか。そして目的の本を見つけられなかったためフィニティを探し、あの王立図書館でフィニティを襲ったのではないか。そういう推理だった。


「あくまで推測だけど、可能性としてはあるんじゃないかなと思うんだ」

「元々フィニティの小屋に目を付けていた。そんな中、彼女の家には誰も住まなくなった。盗みに行ったが目標のものはなかった。だからフィニティを追いかけにマージ・モンドに来た。筋は通っていると思わんか?」

「……」


 完全に通っているとはいえまい。そもそも、黒いコートの人物がフィニティの小屋へやって来たということ自体が二人の推測なのだ。それに本当に黒コートがフィニティを追いかけてマージ・モンドへやって来たとして、何故直接彼女と接触せずに、他の人物とやり取りをしていたのだろうか。

 セン達の推理には穴がある。しかし、完全に否定するほど荒唐無稽な話でもない。その可能性も考慮した結果、もう一つの可能性がシャータの中に生まれた。


「あのさ。もし二人の言う通りだとしてさ」


 偶然の中の一つの答え合わせ。黒いコートの人物の正体。


「黒いコートの人物って、もしかしてフィニティの親なんじゃない?」

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