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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード8

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EP8-12 - それぞれの救出法

 ――――――


「おや、君は……」


 一人生徒会室にて数枚の書類を並べ、それらをじっと見ていた生徒会長。たった一人の静寂の空間に、ノックの音と共に飛び込んできたのはとある女子生徒だった。


「や、生徒会長」

「シャータ・スチャンじゃないか。どうしてここに?」

「エリーの代わり。あの子理事長と王都へ行くことになったから」


 王都へ向かうエリーを見送ったシャータは、彼女に依頼された代役としての務めを果たすため、同じくフィニティを助けるために行動をしている生徒会長の下へと向かった。そうして今、彼と合流したのである。


「理事長が?」

「うん。直接フィニティの容態を診るんだって」

「彼に医療知識があるとは思えないが……。まぁ、いいか」

「それよりあんたは何を見ていたの?」


 テーブルに並べられた書類の中から一枚取り、記載された内容を読み込んでいくシャータ。そこには過去に学校で起きた事件や事故に関しての情報が書かれていた。もう一枚、書類を取ってみるとそこに書かれていたのは実技魔法研究会で起きた火災事件だった。確かこれは、以前リーバが魔法を唱えたところ、防災装置が動かなかったために発生した事件だったはずだ。自分もその場にいたから記憶の中に残っている。


「黒いコートの人物について、正体を知ることができないかと思ってね」


 そういえば、エリーが理事長に事情を説明するときに、黒いコートの人物に襲われて本を奪われたと言っていた。フィニティを傷つけたのもそいつだと言うことか。


「わかるもんなの?」

「わからないからやってみているのさ。まぁ、今のところ手がかりはないんだけどねぇ」

「ふーん。ところでフィニティを助けるための手段の方はどうなの?」


 確かにフィニティを襲った黒いコートの人物を放置しておくわけにはいかない。だが、今は命の危機に瀕しているフィニティを助けることの方が大事のはずだ。だからこうして、各々が彼女を助けるために行動しているのだ。


「わかっているさ。勿論これも無意味な行動ではないと考えているよ」

「どういうこと?」

「聞いているかな。コートの人物はフィニティの祖父であるゲシハ―が書いた本が目的だと言っていたんだ」

「……そこまでは聞いていないかも。アタシが聞いているのはフィニティが死にそうだってことと、コートの人が本を奪って行ったってことだけ」


 考えてみると、自分は詳しい状況を良くわかっていないかもしれない。後ほど何があったのかを共有してもらう必要がありそうだ。そうシャータは思った。


「ということは、だ。その人物もゲシハ―と何かしらの繋がりがあると考えられるだろう?」

「確かにそうだね、それで?」

「僕らはフィニティの祖父母も治癒魔法が使えると考えているんだ。黒コートの正体を知ることで、彼らの居場所もわかるかもしれない。そう考えてね」


 なるほど、と頷くシャータ。生徒会長も彼の視点でフィニティを助けようとしていることはわかった。何か手伝えることはないか、そう言おうとした彼女であったが、再びノックの音が飛び込んできたことで、その言葉は後回しになった。

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