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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード8

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EP8-8 - 親と子の会話

 廊下を走る二人はすれ違う教師に注意をされながら、理事長室へとたどり着く。校内で最も豪勢に作られた扉をノックしてから開けると、これまた豪華な造りの家具たちがエリーとシャータを出迎えてくれた。


「お父様」


 その部屋の中にある座り心地の良さそうな椅子に目的の人物は座っていた。

 マージ・モンドの創立者でありエリーの父親、スーン・サーベスだ。娘と同じ金色の髪と赤い瞳を持つ彼は、皺ひとつない整った顔を娘たちへ向ける。年齢は五十代半ばだと聞いているが、どう見てもそのような年齢には見えない。


「エリーか。マージ・モンドで話すのは久しぶりだな」


 スーンは低い声で顔色一つ変えず、エリー達をじっと見つめた。感情が全く感じられないその顔からは、どことなく威圧感のようなものを放っているように思えた。


「この度は用があって参りました」

「わたしは忙しい。手短に済ませなさい」


 忙しいという割に断る気配は全くない。サーベス家の親子仲が良好なのかはわからないが、少なくとも親の方は娘の話を聞く価値があると思っているようだ。相変わらず顔色が変わらないため、その心の仲間では読めないが。


「私の友人が傷つき、命を落とそうとしております。その彼女を救いたいのです」

「フィニティ・フレインか」

「ご存じなのですか?」

「お前の交友関係は把握している。お前が友人と呼ぶのはそこの娘とフィニティ・フレインくらいだろう」

「……えぇ、その通りです」


 すごく自然に古代魔法研究会のメンバーを友人から省いたな……。そうシャータは思ったが、口には出さないでおいた。


「まさかお父様が私の人間関係を把握しているとは思いませんでした」

「理由は二つ。お前が変な奴らとつるみ、問題を起こさないかを確認するためだ。不祥事など起きたらわたしの名声までも落ちてしまうからな」


 確かに一般生徒が問題を起こすことと、理事長の娘であるエリーが問題を起こすことでは、スーンの評判の落ち方が変わるだろう。前者の場合、評判が落ちるのは学校全体であるが、後者の場合では彼女の親という立場にあるスーン個人の評判も落ちるはずだ。子ども一人まともに育てられない者が教育者として指導できるのか、そう世間からバッシングされることは明白だ。


「そしてもう一つ。フィニティ・フレインはとても可能性のある生徒だ。最高の魔法使いに育て上げるため、個人的に注目していた」

「はぁ」

「是非わたしの創ったこの環境で磨き上げたいものだな。……くはっ」


 変な笑い声をあげる理事長を見て、そういえば以前エリーが魔力を暴走させていたときもおかしな笑い方をしていたことをシャータは思い出す。外見もそうだが、やはり親子、とても良く似ているようだ。

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