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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード8

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EP8-7 - 道は未だ見つからず

「書置きがないということはわかったのじゃが、手がかりなし、という状況は変わらんの」


 この場で気が付いたことと言えばフィニティが残した書置きがないということだけだ。結局、彼女の祖父母に関する情報は見つけられなかった。諦めきれないセンは未だ部屋の中を探そうとしたが、日が落ち始めており空が暗くなり始めていることをリーバに指摘され、フィニティの家を出ることを決めた。しかし、せめて何かの手がかりに繋がるかもしれないと、幾つかの本と文房具などの日用品を袋に詰めて下山することを決めた。


「しかし、貴重な一日目を棒に振ってしまったの」

「……あぁ。こうしている間にもフィニティの命が脅かされていることを考えると、胸が痛くなるよ」

「なーに辛気臭い声を出しておる。辛気臭い態度は辛気臭い魂を呼ぶものじゃぞ」

「……確かにリーバの言う通りだ。絶対に助ける。そう考えていかなきゃね」


 袋に詰めたものも何か役に立つかもしれない。一筋の希望を抱いて、暗くなって足元が見えなくなる前に二人は山を下り始めた。馬車を下りてから休む間もない二人だったが、不思議と疲れは感じなかった。


 ――――――


「……あれ、エリー?」


 時刻は遡り、マージ・モンドの校舎へ戻ったエリーは、校舎内に張られた『廊下は走らない』という注意書きのポスターを無視し、理事長室を目指して廊下を走っていた。そんな彼女を偶々発見したのは、彼女の友人であるシャータであった。普段は理事長の娘として学校のルールを守っている彼女が、他人の目を全く気にせず廊下を走るだなんて珍しい。何かあったのでは、そう感じたシャータは彼女を追いかけて廊下を駆け出した。


「すごい慌てているけどどうしたの?」

「シャータッ」

「あれ、フィニティ達と王都に行ったんじゃなかったっけ?」

「そのフィニティが死にそうなの! だからお父様に会いに行く!」

「えっ?」


 軽い気持ちで質問をしたシャータであったが、彼女が思った以上にエリーとフィニティを取り巻いている状況は悪いらしい。直感的に自分も協力した方が良いと思ったシャータは、全力で走るエリーの後ろを、全力で着いていくこととした。

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