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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード8

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EP8-5 - 力不足な彼ら

「ほー。こりゃ随分とぼろっちい家じゃのー」


 小走りで駆けだしたセンに追い付いたリーバは、フィニティの家の外見を見てそう呟いた。家の中に誰もいないとはいえ、センは教師として失礼な彼女の発言を見逃せずに咎め始める。


「こら、失礼だろうリーバ。家主がいないとはいえ、ちゃんと敬意を払わないと」

「真面目じゃのーお主は」


 とはいえ、リーバがそう言ってしまう理由も理解はできる。フィニティが済んでいた時から年季が入っている建物であったが、この数か月の間誰も手入れをしていなかったせいで更に壁の木材が傷んでいるように見えた。扉を開けた勢いで建物が崩れたりしないだろうか、などといった不安を抱えつつ、センは恐る恐るその家の扉を開ける。若干木材のカビたような匂いがするものの、流石に建物が崩れることはなかった。


「中は狭いのー。こんな小さな家でよく三人も暮らしていたの」


 家の中に入ったリーバは再び思ったことをそのまま口にした。確かに成人男性であるセンの頭がぶつかるのではないかと思えるほどに天井は低いし、二人で行動すると体がぶつかってしまうこともあるくらいにこの家は狭かった。それもこれも壁際に設置されたたくさんの本棚のせいだろう。前にセンが来た時は毒にやられていたこともあり気が付かなかったが、今思うとこの小屋の大きさには不釣り合いなほど多くの本、及び本棚が用意されていた。

 試しにセンは目の前にあった本を取り、ページをパラパラと捲ってみたものの、全然内容がわからない。その理由は明確であった。


「古代文字で書かれているな……」

「うむ。見たところ全て古代文字で書かれているみたいじゃの」

「読めるのか?」

「読めない背表紙ばかりだからこそわかるのじゃよ。さて、困ったの」


 リーバも先ほどのセンと同じくパラパラと本の中身を確認し、溜息と共に本を閉じた。彼女が自分で言ったように困っているようだ。


「……中身がわからないのでは手がかりの探しようがないの」


 そう。古代文字を理解している人物がこの場にはいないのだ。勿論リーバは古代魔法研究会に所属していることもあり、多少は読み解くことができるのだが、完全な解読を行うことは難しい。

 目的地にたどり着いたにもかかわらず、このままでは何の情報も得られない。一体どうしたものかと、センは頭を抱えることとなった。

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