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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード2

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EP2-7 - 長い付き合いになる二人

「あった、これだ」


 センは目的の書類を見つけると教員室内に用意されている自分のデスクへ向かい、ペンを手に取り項目を記載していく。名前、日付、住み込み先の住居……。彼の意識は、自然と目の前の書類に向かって行った。

 しかしその間、フィニティは初めてこの街でセンの監視下を外れることになった。好奇心旺盛な彼女を放置すること、それが悪手だったことは言うまでもない。


「……あれ、フィニティ。どこだ?」


 意識が書類から離れたセンがふと顔を上げると、共に来た少女の姿が影も形もなくなっていた。辺りをきょろきょろと見渡してみるが、そこにいるはずの小さな影は全く持って見当たらない。

 なんだか嫌な予感がする。顔が青くなったセンに、眼鏡をかけた彼の同僚の女性が声を掛けてきた。

 

「あぁセン。あなたが連れてきた女の子ならさっき部屋を出て行きましたよ」

「……え?」


――――――


「すごいすごい! あー、これどうやって動いているんだろう!」


 あちらこちら、ふらふらと学校内を歩いていく少女フィニティ。校内に備え付けられている設備や道具は、全て彼女にとって初めて見るものであり、彼女の知識欲を掻き立てるには十分すぎるものであった。照明や空調設備などの特別な設備から、机や椅子などの一般的な家具まで、綺麗にそろえられたこの空間すべてが彼女の好奇心を惹きたてた。

 しかしそんな彼女の行動はというと、傍から見ると異様な光景であった。幼い少女が壁や天井に設置された設備を見て、急に大きな声をあげて近寄っていく。これを異様と言わずなんと言おう。そのせいか彼女とすれ違うこの学校の生徒は、奇異の目を向けて彼女から遠ざかっていった。


「光ってる! これはやっぱり炎の魔法かなぁ」


 次に彼女の興味を惹いたのは天井に設置されていた灯りだ。白い光を放つその照明は、これまで見たどの照明設備より明るく大きなものであった。中身はどうなっているのだろうか、そう考えたフィニティはその小さな体をぴょんぴょんと飛び跳ねてできるだけ灯りに近づこうとする。

 

「見えない……。うーん、光を放つ魔法っていう可能性もあるし……」

「ちょっと、そこのお嬢さん」


 そうやって不自然に飛び跳ねるフィニティに近づく一人の少女。その正体は、このマージ・モンドに所属する一人の女生徒だった。

 金色の髪をツインテールにした、フィニティより頭一つ分ほど背が高い女生徒。炎のように赤い瞳を細めたその女生徒は、少々険しい表情でフィニティを見た。


「よくわかりませんが、少しは大人しくしなさい。他の人の迷惑になりますよ」

「……あ、ごめんなさい」


 突如現れた謎の女生徒。その存在に気が付いたフィニティは正気に戻り、先ほどまでのハイテンションが嘘のように畏縮してしまうのだった。

ようやくこれからキャラクターが増えそうです。

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