表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード7

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

140/234

EP7-25 - 奪われた予言書

「……仕方ない、お答えしましょう」


 黒いコートを羽織った人物は焦らすようにそう言った。フードを深く被っており表情は見えないものの、その口元には笑みが浮かんでいるように見えた。


「ですがその前に」


 コートの人物は腕を振ると袖の部分から何かを取り出した。コートの色に隠れていてよくは見えないが、どうやら何か球状の道具のようだ。

 その人物はその玉を頭上に掲げると、勢いよく地面に叩きつけた。すると大きな破裂音と共に煙が立ち込める。ものの数秒で、この場にいる全員の視界を奪ってしまった。


「煙玉だと⁉︎」


 声に出したセンだけではなく、全員が油断していた。目の前にいた人物は魔法によって危害を加えてきたことはあったものの、道具を使ってきたことはエリーへ渡した薬以外になかった。もし何か攻撃してくることがあっても魔法だけを警戒していればいいと、無意識のうちに思い込んでしまっていたのだ。


「みんな気をつけろ! どこから仕掛けてくるかわからないぞ!」

「ご心配なさらず。ワタシの目的はただ一つですから」


 コートの人物はこの煙の中で、まるで視界が見えているかのように歩いているようだ。コツコツという足音が響く中、なんとかフィニティだけでも守ろうとするセンであったが、足音は彼の後ろの方まで伸びていく。

 やがて音が止まり、煙が晴れる。視界を取り戻した一同が周りを見渡すと、そのコートの人物は先ほどまでフィニティが立っていた場所にいた。


「えぇ、えぇ。これですとも。本当はそこの娘を傷つけるつもりはなかったんですがねぇ」


 そう言う黒いコートの人物の手にはとある一冊の本が握られていた。フィニティの祖父が書いたと言う、災厄について記された本だ。

 コートの人物はパラパラと中身を捲ると、何かわかったかのように頷いた。そして小さくボソボソと何かを呟くと、その人物の目の前に人一人入れるくらいの大きな魔法陣が現れる。一体何の魔法による魔法陣なのかは不明だが、この場から離れる手段であることは間違い無いだろう。センはフィニティを抱えながらコートの人物に向かって駆け出し、その腕を掴もうと手を伸ばす。


「待て!」

「嫌ですねぇ、待ちませんよ」


 しかし、センの手は腕には届かず、虚空を掴んだ。魔法陣がひとりでに動き、コートの人物を包んだかと思うと、その人物は一瞬で姿を消してしまったのだ。まったく正体のわからない魔法であるが、逃げられたと言うことだけはわかってしまった。

正月休みが今日で終わるだなんて……嘘だ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ