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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード7

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EP7-24 - 災厄の正体

あけましておめでとうございます。引き続き完結を目標に頑張りますので、今年もよろしくお願いします!

「あんたは……!」


 エリーはフィニティを傷つけたその人物を見て奥歯を噛み締める。黒いコートを羽織り、顔が見えないほどに深くフードを被ったその人物。中性的な声のせいで性別すらわからず、何が目的で動いているのかもわからない謎の人物。

 以前エリーを傷つけた黒いコートの人物が、そこにいた。


「やぁやぁお久しぶりです金髪のお嬢さん。ご無沙汰しております。ワタシが貴方に売った薬は役に立ちましたか?」

「役に立つ? それどころか一生を終わらせるところだったんだけど」

「ははは。何をおっしゃる。ワタシの薬は貴方の望みを叶えたはずですよ。生まれ持った魔力以上の力を引き出すというその望みを」


 商人としてエリーの前に現れた黒いコートの人物は、『魔力を高める道具を売っている者』と名乗り、エリーに薬を売った。確かにその商品を購入する決断を下し、デメリットがあるかどうかの説明を聞かずにその薬を服用したのはエリー自身だ。いかにも彼女に責任があると言いたげな台詞回しをする黒いコートの人物だが、危険な副作用があるにも関わらず、薬を彼女に売ったことの理由にはならない。そのことを言うために一歩前へ出たのは、彼女を守る立場にある男だった。


「確かに貴方から薬を買うという決断をしたのは彼女かもしれない。だが、それは貴方が副作用のある薬を売ったことの理由にはならない」

「はて、貴方は一体誰なのでしょう?」

「僕はセン・チャーティー。この子らが所属している学校の教師を勤めている男だ」


 センはフィニティを抱え、焦燥感のある表情を浮かべながらも冷静な口調で黒いコートの人物と対峙した。しかし、そんな彼を見てコートの人物は人を馬鹿にしたような笑い声を漏らす。


「教師。あぁ教師。へぇ、生徒を守れずに唯々呆けていた人物が随分とご立派なことを言いなさる」

「……話を変えないでくれるか。今、彼女を守れなかったことと、過去に貴方が僕の生徒を傷つけたことは関係ないことのはずだ」

「ははは。貴方こそ話を変えないでいただきたい。確かにワタシがそこのお嬢さんに薬を売ったことと、力不足の貴方がフィニティというその少女を守り切れずに傷つけたことは別の話だ。しかし、それは貴方が生徒を守ることができなかった男ということは事実となるのですよ。笑えますねぇ」

「それは……」

「やめい。セン」

「そうだねぇ」


 フィニティを抱える手に力が入るセン。そんな彼の肩に手を置き、庇うようにして前に出る生徒が二人。魔女と生徒会長だ。


「こやつと話すだけ無駄じゃ」

「この男の言うことには中身がない。適当にそれっぽい屁理屈を並べて人を混乱させるだけだ。詐欺師の常套句だよ」

「おやおや、酷い言われようですねぇ。センさんと言いましたっけ。貴方の学校では随分と失礼な――」

「君の目的は何なのかな?」


 再び余計なことを言い出した黒いコートの人物の言葉を遮るようにして生徒会長は質問を被せる。予想外だったのかコートの人物は少しの沈黙を生んだ後、わざとらしくゆっくりと口を開けた。

次回の更新は恐らくいつも通り1/5(日)想定です。

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