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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード7

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EP7-23 - 真実を知る者

「それでフィニティさんと言いましたかな。続きは何と書かれているのですか?」

「そうですね……」


 フィニティはエリーから受け取った本を捲り、彼女の祖父が書いたという癖の強い古代文字を読み進める。文章をなぞる指が止まらないところを見ると、やはり家族である彼女にとっては容易に読み解ける本のようだ。


「やがて襲い掛かるかもしれん厄災をここに記す。過去の罪を償うため、ワシらはその災いを防ぎに向かう。しかし、もし失敗した場合はこの本を読み解きし者がその災厄に立ち向かってほしい」

「……どうやら、楽しい話が記された本ではないようだねぇ」

「遺書がどうのと書かれている時点でわかっていたことじゃろうに」


 厄災、災い、災厄。おどろおどろしい言葉が使われているその文章を読む限り、この本には大変重要なことが書かれているようだ。恐らく、覚悟を持って読み進めるべきだろう。息をのむ一同を他所に、フィニティはこれまでと同様に文字をなぞり続ける。


「災厄は過去からやってくる。ワシらが逃げ込んだこの時代を目標としてあの男はやってくるはずだ」

「過去から?」

「いや、それより逃げ込んだ時代って……」


 一気に話が飛躍した。災いがやがて襲い掛かる、というのに過去からやってくるという。災いがやってくる、というのに男がやって来るという。

 しかしそれよりも、フィニティの祖父母が「この時代に逃げ込んだ」というところだ。逃げ込んだということは、彼らは本来この時代にはいなかったのだろうか。仮にそうだとしたら、どうやってやって来たのだろうか。それ以前に彼らの正体は何者なのだろうか。

 様々な謎が浮かび上がるものの、話の続きを聞けば解明されるかもしれない。そう思った一同は再度フィニティが読み上げる声に耳を傾けた。


「男の目的はワシら夫婦のはずだ。恐らく、無差別に人を襲うことはないだろう。しかし、ワシらの周りに民間人がいた場合は巻き込まれる可能性がある。そこで――」


 その時だった。一筋の光がフィニティの体に突き刺さったのは。

 赤い光を纏った熱線、その光が少女の体を背後から静かに貫いた。あまりに唐突な出来事に、一体何が起きたのかを把握できた人物はいなかった。しかし、フィニティがその場に倒れこんだのは紛れもない事実だけは理解することができた。


「どうした、フィニティ!」


 うつぶせで倒れたフィニティの体を抱え、大きな声をかけるセン。その腹部には焦げ跡のようなものが残っていた。何者かがフィニティを攻撃したということは間違いないだろう。しかし、一体誰が?


「あらら。直接当たっちゃいましたか」

 

 光が放たれた方向から声が聞こえた。いつかどこかで聞いたような、嫌な声が。

今年ももう残り僅かですね。皆さん良いお年をお迎えください。

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