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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード7

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EP7-11 - 一時の休息をどう取ればいいのか

「……ようやく見えたの。王立図書館」


 王都を一時間弱歩き回り、古代魔法研究会一同はようやく目的地である王立図書館が見える場所までやって来た。半日ほど馬車に揺られた後のウォーキングは、一同の精神を削るには十分すぎる行為だった。

 山育ちである一名を除いて。


「わぁ、あの建物も大きい!」


 同世代の生徒と比べても体力が大きいフィニティは、疲弊している他の生徒達と異なる明るい様子で視界の先にある図書館を指差した。その元気さを分けてほしい、そう思うエリー達であった。


「ち……、ちょっと待って、フィニティ」

「一度休憩しないか……?」

「あぁぁ、皆さんのこと見えていませんでした。すみません!」


 体力があることに加えて興奮していた彼女は、いつの間にか先頭を歩いて行たセンを追い越してしまっていた。改めて後ろを見ると、皆どう見ても表情に疲れが現れている。

 フィニティが周囲を見渡すと、明かりの灯った店が幾つか建ち並んでいた。その中で休憩できそうなところというとやはり飲食店だろうか。そう思った彼女は看板に掲げられた文字や絵を見て飲食店だと思われる場所を探し始める。


「あっ、あれなんてどうですか。飲み物のマークが書かれています!」

「……酒場じゃな」

「酒場だねぇ」


 グラスの中に赤い液体が注がれているようなマークが書かれているその建物は、仕事終わりの人々が集まるような酒場であった。どうやら余程繁盛しているらしく、店の外までお客の笑い声が響いている。


「待ってよ。私たちは未成年だよ?」

「それは心配ない。未成年でも大人が同伴していればアルコールを提供している店に出入りしても問題ないというのが我が国の法律さ」

「ま、酒は飲むわけにはいかんがのー」


 あくまで出入りしても良いというだけで、飲酒は成人してから。それがこの国の法律であり、守るべきルールだ。流石にそのルールを破ろうとする人物はこの中にはいなかった。


「ま、待ってくれ。教師の立場から言わせてもらうと生徒を酒場に連れて行くわけには……」


 しかし酒場という時点で、生徒達には悪影響を与える可能性が高い。教師であるセンは、そのことを考慮して立ち寄りを拒もうとする。


「だがセン。この辺りは酒場くらいしか空いていなさそうだぞ」


 日は既に沈んでおり、段々と飲食店が店を閉めていく時刻となっていた。恐らく探せばまだ開いている店もあるのだろうが、この足が棒になるほど疲れている中、一時の休憩のためだけに今から街を歩き回るのは避けたいところだ。


「だったら先に図書館へ行って、あとは宿屋で休むのは」

「……先生の気持ちはわかっているつもりですが、流石に私もクタクタです」


 目的地は見えているものの、歩いていくとまだ時間がかかるだろう。現在の疲労度を考慮すると、やはり一度休憩を挟みたいところだ。

 教師の立場と目の前の生徒達の現状。その二つを秤にかけ、センは大きく悩み始める。


「先生?」

「待ってくれ。今は色々考えることが」

「そうじゃなくて、もうみんな行ってます」

「……え?」


 エリーの声を聴いて意識を思考から現実に戻したセン。辺りを見渡すと、その場に残っていた生徒は彼女だけだった。そして視線を酒場の方に移すと、待ちかねた生徒たちが既に扉へ手を掛けている瞬間であった。

ドラクエIIIを買いました。作品に役立てられたらいいなぁ。

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