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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード7

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EP7-10 - 王都は何故王都なのか

「それにしても、王都って本当に人が多いんですね」


 王立図書館への道を歩きながら、フィニティはそんな独り言を呟いた。最初に街へ訪れた時も感じたことではあるが、いざ街中を歩き自分もその人込みに混ざってみると、普段過ごしている街と比べて圧倒的に人数が多いことを実感する。


「そりゃあ、王都だからな」

「王都だから人が多いんですか?」

「おう、そりゃあ……王都だからな」

「こらハジメ。それじゃあ何も答えられていないじゃないか」


 先頭を歩くセンが後ろを振り返り、少しだけ厳しめな表情を浮かべて注意をした。尤も、普段から優しい彼はそんな表情であっても怖さを感じることはないのだが。


「フィニティ。何故王都に人が多いのだと思う?」

「王都だから、なんですよね?」

「じゃあ何で王都はエハキガの街より人が多いんだろう。王都だってエハキガだって、同じ街じゃないか」

「うーん……」


 フィニティは歩きながら腕を組み、唸りながらセンの質問の答えを考え始めた。一秒、十秒、一分……、小さな沈黙が続いていく。恐らく答えが浮かばないのだろう。彼女の隣を歩くエリーは、悩める彼女に助言をしようと近づく。


「フィニティ、周りを見てみて」

「周り?」


 言われるがまま、彼女は周りの景色を見渡し始めた。多くの人、どこにでも設置されている街灯、そして大き目な建造物たち……。

 どれもこれも、普段過ごしているエハキガの街より規模が大きいものだ。だが、それだけしかわからなかった。


「いつもの街より色んなものが大きいことはわかりますけど」

「違う違う。もっと上」

「上?」


 もう一度言われるがまま、彼女は視線を上へとあげた。すると、そこには明らかにいつも見ていた景色にはないものが存在していた。


「あれ、なんですかあの建物」


 フィニティが指を差した先にあるのは家でもただの建造物でもない、立派な建物があった。その建物はまだ遠くにあるものの、一度視界に入ってしまえば嫌でも気になってしまうほど目立つ外見をしている。金や銀などの派手な色合いが、嫌味にならない程度に上手く組み合わさった、そんな外見だ。


「あれは城だよ。あそこにこの国の王がいるんだ」

「オー?」

「そう。この国で一番偉い人だよ」

「偉い人……」

「その人を守るために人が集まって、その多くの人が過ごすための街づくりが行われた。そういうことさ」

「うーん」


 わかったような、わからないような。

 そんな表情を浮かべて、彼女は再び腕を組みながら王立図書館への道を歩き続けるのだった。

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