表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード7

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

121/234

EP7-6 - 馬の車に乗せられて

 ――――――


「さて、出発するとするかー」


 フィニティの祖父母の名前を知っている人物が見つかってから約一週間後、休日を迎えた古代魔法研究会の一同は校門前に集まり、王都へ向かうための馬車に乗ろうとしていた。馬車は二人乗りとなっていて、この場には三台並んでいる。


「お主も来るのか、ハジメ」

「おう。王都に行く機会なんてほとんどないからな。来週のバイトの時間を増やす代わりに今日は休ませてもらったよ」

「融通が利くバイト先じゃのー」


 そのせいで利用する馬車が増えてしまい、センの財布に負担がかかってしまったことをハジメは知らない。

 そしてそんな悲しみに暮れるセンとは対照的に、目を輝かせて馬車を見る少女がいた。勿論好奇心旺盛な少女であるフィニティだ。


「あたし、馬の車って初めてです!」

「そういえば人力車には乗ったことがあるって言ってたっけ」

「はい! センさんに乗せてもらいました!」


 フィニティはマージ・モンドへやって来た時、センと一緒に人力車へ乗ったことがある。それ以来、車という乗り物には縁がなく、これが久しぶりの乗車となった。あの時はすごく楽しかったと、少女は嬉しそうに隣に立つエリーへと語っていた。


「ところで誰と誰がペアになるんだ?」


 馬車は二人乗りで、今ここにはフィニティとエリー、ハジメとセン、そしてリーバの五人が集まっている。二人ずつ車に乗り込んだとして、残った者は一人で乗車することとなる。

 幼いフィニティを一人にするのは心配だ、と主張したエリーは自分が一緒に乗車すると宣言した。残りの三人はどうするかと話し合いを行った結果、男二人は同じ車に乗り、リーバが一人で乗り込むこととなった。その結果を聞いて、フィニティはリーバの下へと駆け寄り、声をかける。


「一人で大丈夫ですか、リーバさん」

「おや、ワシのことが心配かねフィニティ?」

「だって王都に行くには半年ほどかかるんですよね。その間一人だと寂しくないですか?」

「心配ご無用じゃ。ワシレベルになると一人で二役になりきって会話ができるのじゃよ」

「へー、すごいですね!」


 そのスキルは一体いつ役に立つのだろうか。それどころか一体どうやって身に着けたのだろうか。全くほしいとは思わないものの、経緯だけは気になるエリーであった。


「じゃあ乗り込むか……」

「ちょっと待ってくれるかな?」


 組み合わせも決まり、馬車に乗り込もうとした一同に声をかける男がいた。つい最近聞いた、覚えのある胡散臭い声。

 それぞれがゆっくりと声の方へ顔を動かすと、そこにいたのは金髪の男、生徒会長であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ