EP7-5 - 点と点は繋がっている
何かいい理由はないだろうか。フィニティの耳に入っても特に問題なく、かつ取材を断ることができる理由というものは。並んで座る二人は共に唸り声を上げながら思考を巡らせるが、それに対しての答えはなかなか出てきてくれない。
「やれやれ難産じゃのー。一体全体どうしたものか」
「……まぁ、そう簡単に浮かべば一週間も悩んでいないよね」
やがて二人は考えることを諦め、熟考していたせいで固まっていた体をほぐすため、並んでストレッチをし始めた。
「ところで、あんたのほうはわかったの?」
「なんのことじゃ?」
「フィニティの祖父母の名前のこと。何か思い出した?」
ゲシハー・フレインにサオエル・フレイン。フィニティの祖父母である二人の名前を聞いたときに、リーバはその名に聞き覚えがあると言っていた。その時は結局何も思い出せなかったが、今はどうなのか。そのことについて問いかけてみると、リーバはいつしか見たように片手を真っ直ぐ上へと挙げた。
「……何それ?」
「お手上げのポーズじゃ。さーっぱり思い出せん」
この前は挙手のポーズだったじゃないか。やはりふざけている時のリーバとは真面目に付き合わない方が良さそうだ。
とはいえ、どんなところにきっかけが転がっているかわからない。もしかしたらこの件を思い出すことによって何かわかることがあるかもしれない。エリーはそう考えると、とりあえず自分の思っていることを口に出す。
「図書館の司書が名前を知っているってことはそういうところに縁がある人なんじゃないの?」
「ほう、司書に縁とな?」
「例えばえーっと、作家さんとか小説家さんとか」
「ふむ」
リーバは挙げていた手を口元に戻して考え込むが、結果としてはあまりよろしくないものであった。どうやら思いつくものはなかったらしい。
もしかしたら今日は考え込んでも良い結果が出てこない日なのかもしれない。こういう日はきっぱりと諦め、後日考えた方が良い成果を出せるものだ。エリーとリーバは部室を後にし、それぞれの自室へと帰っていった。




