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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード2

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EP2-4 - 興奮収まらぬ少女

「見えた。あれが魔法学校のある街、エハキガだ」


 治癒魔法についてひと悶着あってから数時間後のこと。二人はようやく山を出ることができ、太陽が沈む前である夕刻の時間に街へたどり着くことができた。山を下りていく間にフィニティの怒りも収まり、今となっては初めて目にする建物に興奮がさめやらないというような状態だ。彼女は驚嘆の声をあげて街門の方へと走っていった。

 エハキガはとても大きな街だ。東西南北の四方向にはそれぞれ天高く聳え立つ街門が用意されており、それを潜るとまるで世界が変わったかのように華やかな建物がずらりと並んでいる。建物の場所は街によって決められているため、どこに行けば何があるかがわかりやすく、市民にとって利用しやすくなっている。市場や飲食店、美術館や博物館、衣類やアクセサリーに関する店など、それぞれのエリアが決まっているのだ。

 そして街を彩るのはここの市民だ。世界の中でもトップクラスの人口を誇るこの街は、老若男女様々な人間が昼夜問わず出歩いている。それは夕刻である今も同じであり、その光景を見たフィニティは再び驚嘆の声を上げた。


「うわぁぁぁぁ。ひ、人だ。人がたくさんいる」

「まぁ、エハキガだからな」

「木よりも人の方が多い!」


 驚くところはそこなのか。

 これまでで一番大きな声を出す彼女に、思わずセンは苦笑した。いや、彼女の生い立ちを考えればそう思う気持ちもわかるのだが。

 フィニティは目を輝かせながら周囲を見渡し、あちらこちらへと走り回る。初めて見る建物、たくさんの人々、何もかもが彼女の興味を惹いたのだろう。彼女を連れてきて良かったと、センは心の底から実感した。そんなフィニティには申し訳ないが、この後は薬草を届けるために学校へと向かわないといけない。また、彼女の住処も用意しなければならないが、それはセンに考えがあった。


「フィニティ、街の探索はまた後日にしよう。とりあえず学校までついてきてくれるか」

「あ、はい! わかりました!」


 元気よく返事をするフィニティ。数時間も山を歩き続けてなお有り余っている彼女の体力にセンは心の中で感心する。そんな彼は、彼女とは対照的に既に体力が限界であった。


「車を使おう。フィニティ、こっちだ」

「クルマ?」

「あぁ。便利なものだ」


 センは彼女を連れてある場所へと向かって行く。そこにはガタイの良い屈強な男と、人が引っ張ることができる小さな車――人力車が並んでいた。

ようやく学校まで行けそうです。

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