表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード7

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/234

EP7-3 - 保護者の会

 ―――――― 


「いやぁそれにしても、あんなに嬉しそうなフィニティは久しぶりに見た気がするのー」


 センが部屋を出て数時間後のこと。

 クラブ活動の時間も終わりとなり、フィニティは自室へと戻っていった。といっても、彼女が戻った部屋は正確に言うとエリーの部屋ではあるが。彼女は未だにエリーと共に生活しているのだ。

 そんな部屋主であるエリーは未だ古代魔法研究会の部室に残っていた。もう少しで今読んでいる本が読み終わりそうだったからだ。部屋へ戻ってからでも本は読めるのだが、キリが良いところまで来たためそのまま部室で読み進めることにしたのだった。しかし、そんな彼女にお構いなく、リーバはエリーへ声を掛け続ける。


「それにしても、こんなに上手く話が進むとはのー。案を出したワシ自身びっくりじゃて」

「……」

「しかも相手が王立図書館の司書。一体全体どう話が転がるかわからんのー」

「……」

「それで、お主はフィニティに何を隠しとるのじゃ」

「……ようやく聞いてきたわね」


 エリーは本を閉じ、下に向けていた視線を横で座っている魔女へと向ける。いつも通りのふざけているような笑顔を浮かべている彼女を見て、エリーは面倒くさそうに一つ大きなため息を吐いた。


「ずっとそのことについて聞かれないから変だと思ってた」

「ようやくチャンスが巡って来たからの。恐らくフィニティがいる前だと絶対に口を割らんつもりじゃろ?」

「……どこまで知っているの?」

「さてのー。意外と全部気づいていないかもしれんし、もしかしたら全部気づいているかもしれんの」


 とはいえこの様子、やはりフィニティのことについて話していたのは間違いなさそうだと、リーバは自分の推測が当たっていることを確信した。さて、ここからどうやって情報を聞き出そうか。そう考えていると、目の前の人物は想定外の反応を示す。


「ま、あんたは協力者だし話してもいいかな」

「は?」

「なによ」

「協力者ってなんのことじゃ」

「フィニティを守るって話したでしょ。古代魔法が使える唯一の存在だからって」


 確かに以前、リーバはそのことについてエリーと話したことがある。そしてそれはエリーが部員でもないのにこの研究会に足を運び続ける理由にもなっていた。


「あ、あぁ。確かに話したが……」

「なに。そんな変な顔をして」

「まさかお主がすんなりとワシに隠し事を共有するとは思わなかったからの……」

「どういうこと? あんたのことはそれなりに信用しているけど」

「……えーいやめんか。尻が痒くなるわい!」


 どうやらリーバは思った以上に信頼されているようだ。普段から適当に振舞っている分、彼女は真剣な好意に弱いのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ