EP7-1 - その行方の在りか
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「じーっ」
「……」
とある日の放課後。古代魔法研究会の部室にクラブ活動をしに来たフィニティは、同じく活動をしに来たエリーをじーっと見つめていた。
ここのところいつもそうだ。フィニティは今までとは違い本にはまったく目もくれず、エリーのことを見つめている。それも本人の目の前に立って行うのだから、エリーにとっては鬱陶しいことこの上ない。
「あの、フィニティ。何なの最近?」
「なんでもないです。気にしないでください」
「……リーバ?」
「ワシは何も知らんぞー」
エリーはこの場にいるもう一人の研究員に声を掛けるものの、その答えは予想通りというか、適当にはぐらかされることとなった。今の彼女は当てにならなさそうだ。
今日はセンもハジメも不在だ。他に頼れる人がいない以上、直接聞くしか解決する方法はなさそうだ。といっても、何故フィニティがこのような奇行をしているのか、概ね予想はついているのだが。
「……そういえば会長に」
「生徒会長さんが何か言ってたんですか!」
「いや、今日すれ違っただけだけど」
「そうですか……」
露骨に残念そうな顔をするフィニティ。やはりこの前生徒会長と出会った時、彼女らに隠し事をしたことが気づかれているのだろう。それを暴くためにフィニティはこうしてエリーの近くをうろついているのだ。とはいえ、隠さなければならない以上、そう簡単に告げることなどできないのだが。
さて、どうしたものか。このままでは大人しく読書もできない。他にフィニティの気を引く出来事があれば良いのだが、そう都合よく何かしらの出来事など起きるわけがない。そう思ってエリーは本を読みながら思考を巡らせていると、遠くからドカドカと慌ただしい音が聞こえてきた。
「フィニティ、いるか!」
音の主はセンだった。彼は普段の落ち着いた様子からは見られないような慌てた様子で研究会の部室の扉を開けると、息を切らしながらフィニティへと近づいていく。
「あ、はい。いますけど」
「見ればわかる。見つけたんだ!」
「えっと、見つかっちゃいました?」
「違う! 君のことじゃない!」
片方が慌てているせいで話が通じているようで通じていない。とりあえずエリーはセンに対して落ち着くようアドバイスを送ると、彼は大きく深呼吸をしてから再びフィニティに話し始めた。
「君の祖父母の名前を知っている人を見つけたんだよ!」
ちょっと水曜日更新できるかが不明です。




