EP6-13 - 貴方の嘘は知っている
「さて、その学園を巻き込んだ祭りの計画とはいったい何なのかの?」
「やれやれ、君はこの部屋に入ってきてからそんな質問ばかりだねぇ。仕方ない」
大袈裟に肩をすくめ、首を左右に振る生徒会長。また答えをはぐらかすつもりなのかと思ったが、どうやら今度はまともに答えてくれるようだった。
「簡単に言うと、学園中を巻き込んだ宝探しさ」
「宝探し、とな?」
聞き返すリーバに対して、生徒会長は「そう」と一言相槌を打つと話の続きをし始める。
「何色かのカードを用意して、学園のどこかに隠しておく。見つけた人には商品を渡す。単純でわかりやすいだろう?」
「わー。面白そうですね!」
確かに単純かつ分かりやすいイベントだ。これならば学園祭にやってくる一般の方々も参加しやすいことだろう。まさに老若男女問わず楽しめる、学園祭向けの催しだと言える。
「それで、商品って何なんだ?」
「そこまではまだ決められていないの。丁度そのタイミングであんたたちがやって来たからね」
「魅力的な物を用意したいとは思っているけどねぇ」
そうなのか、とハジメが一言漏らすと、生徒会室に静寂が訪れることとなった。何の話をどこまでしていたかがわかってしまった以上、リーバたちからの質問事項が完全になくなったのだ。そしてその静寂を打ち破ったのは、場の流れを掌握している彼であった。
「さて、古代魔法研究会のお客様方。そろそろ帰ってもらってもいいかな。オレはまだ彼女と話すことがあるのでね」
「……一つだけいいかの?」
「本当に一つだけなら答えてもいいけど?」
生徒会長のどこか挑戦的な返答に対し、リーバはどこか真剣な面立ちで返す。
「学園祭の話以外に、何か話したりはしていないかの?」
「……どういうことだい?」
「なーに、ただの勘じゃよ。深い考えなどないわい」
リーバの質問の意図を聞く生徒会長。その言葉を発する前に沈黙が挟まれたのは偶々だろうか。
「さて、ね。愛の告白をしたつもりはないけど」
「お主が勝ち筋のない勝負に挑むとは思えんわい。ま、何もなければそれでいいがの」
そう言い残すとリーバは大人しく生徒会長たちに背を向け、生徒会室を後にした。珍しくあっさりと退散した彼女を追いかけて、フィニティとハジメも部屋を出る。そうして生徒会室に残されたのは、生徒会役員と生徒会長、そしてエリーだけだった。
「……流石、あの魔女の幼馴染ね。適当なことを言って煙に巻くのはお得意というわけか」
「こちらこそ、話を合わせてくれて助かったよ。そういえば学園祭まであと少しだったねぇ」
「とっさに思いついた嘘にしては良くできていたでしょ?」
「あぁ。おかげで今年の学園祭は面白いことになりそうだ」
「そんなことより、さっさと本題を話しましょう」
「そうだったねぇ」
エリーと生徒会長は再びテーブルを挟んで向かい合わせに座り、真剣な眼差しでお互いを見つめる。そして彼らはとある人物の名を口にするのであった。
「では、続きを話そう。フィニティ・フレインについて」




