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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード6

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EP6-12 - 似た者同士

「それで、学園祭について何をこそこそ話していたのかの?」


 生徒会長とエリーは学園祭について話をしていたと言う。しかし、それならば廊下で話をしても問題ないわけで、わざわざ生徒会室に呼び出す必要はないはずだ。他の人には聞かれたくない話題があったとしか考えられない。


「簡単なことだよ。まだ一般の生徒達には秘密のお話をしていたのさ」

「ほう。俺たちには秘密にされている事実があるってことか」

「なに、決定していないことを聞かれて下手に噂となってしまっては困るだろう?」

「おう。それもそうだな」


 未だ決定していない事実を他の生徒に聞かれてしまった場合、噂となって尾ひれが付き、学校中に誤った情報として届いてしまうかもしれない。それを防ぐために一般生徒がやってこない生徒会室で話をしていた、というのが生徒会長の主張であった。流石にリーバたちがやって来たのは予想外だったらしいが。

 しかし、彼の発言には矛盾がある。それにいち早く気が付いたのは、何故か今回の問題に積極的に関わろうとしていたリーバであった。


「お主の主張は理解できたが、そこのエリー・サーベスも一般の生徒じゃろうて。ワシらには話せず、その娘には話せるというのは一体どういう了見じゃ?」

「おっと御尤もだ。それを言われては耳が痛いな」

「わかってもらえれば話は早いの。さて、何を話していたか話してもらおうか」

「しかし、そう上手く話はいかないものだよ。残念ながらこれは理事長の娘という彼女の立場も関係している話なのさ」


 話、話と同じ単語を連呼してよく混乱せずに話を続けられるものだ。やはり幼馴染ということもあり、息がぴったり合うのだろう。

 とはいえ、リーバとよく似た生徒会長に話の進行を任せると、また意味のない話を延々と続けさせてしまいそうだ。ならばここは代わりに答えてしまった方が良いだろうと、エリーは口を開く。


「今度の学園祭は学校全体を利用したイベントを開催しようかという話をしていたの」

「おっとエリー・サーベス。それはまだ秘密の話のはずだが」

「どうせあとはお父様が決めることよ。それに、このままだと解散した後に私がこの魔女からずっと質問攻めされることになるの。そんなのごめんだわ」


 そう話す彼女のことを、生徒会長は未だニヤニヤとした意地の悪い笑顔で見つめていた。この男、最初から隠し通す気などなく、ただただ幼馴染とじゃれ合っていただけのようだ。全く面倒くさい男だ。エリーは部屋中に聞こえるほど大きなため息を吐き、再び紅茶を入れ始めるのだった。

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