EP6-5 - 祖父母の行方
「ふーむ。確かにフィニティの爺であれば、その夢とやらに対して何かわかるかもしれんの」
「でしょう。他の人の手がかりがない以上、そうするしかないと思うの」
「……」
二人の言う通りだ、とセンは思う。フィニティが見た夢に対して、彼女が持っている知識や記憶だけではこれ以上何もわからない以上、他の人物に頼るしかないだろう。そう、言っていることは正しい。だが。
「確かにじっちゃんに聞けば何かわかるかもしれません。ですが」
「どこにいるのか、何をしているのかもわからないんだろう?」
「……はい」
フィニティの祖父母は二年前に彼女を置いて家を出ている。彼らは「ちょっと用事がある」とだけ言ってそれから帰ってこなかったとのことだ。フィニティはそのことについて何も思っていなかったとのことだが、センはその話を聞いたとき、彼女の祖父母は家を出た後に亡くなったのではないかと推測をしていた。幼い少女を二年も放置して為さねばならない用事など想像がつかないし、二年も家を空けるのであればそれを少女に伝えるはずだ。なにより、行先も内容も伝えずに二年も帰ってこないなんて不自然すぎる。
「ふむ」
初めてそのことを聞いたリーバは小さく相槌を打つと、再び口元に手を当てた。そして数秒ほど沈黙すると、今度はその手を上にあげる。
「なに?」
「見てわかるじゃろ?」
「……お手上げってこと?」
「残念ながら、今回は発言のための挙手じゃ」
普段小ボケを挟みまくっている癖に。エリーのぼそりとした呟きは誰の耳にも届かずに消えた。
「フィニティの爺と婆じゃが、行方はともかく、どこに行ったかはある程度想像がつくぞえ」
「え、本当かいリーバ?」
「あくまで想像じゃがのー」
そう言うと、今度はリーバがビシッと指をさした。指の先にいるのはフィニティだ。
「フィニティはほぼ完ぺきに古代魔法を扱うことができる。それを教えたのはその爺と婆。つまり、彼らも古代魔法に関する知識を持っているに違いない」
「まぁ、そうなる……のかな」
「ならばあとは簡単じゃ。古代魔法を研究している機関の研究者や利用者にフィニティの祖父母の名前がないかを確認すればよかろう?」
「……確、かに?」
言われてみれば本当に単純な話だ。だが、だからこそ見落としていた。
いつもこれくらい真面目にいてくれれば良いのに。エリーがぼそりと呟いたその言葉は、再び誰の耳にも届かずに消えた。
最近腰が痛い気がする……。年ですかね。




