EP6-3 - 繋がってく絆
「お、噂をすればその渦中の人間がやってきたようじゃぞ」
「あ、こら。余計なことを言わないで」
教員室へ寄ることとなったため、放課後のクラブ活動に一人遅れることとなったフィニティ。既に研究室には顧問であるセンや部員が集まっており、いないのは幽霊部員であるハジメくらいだった。
そしてフィニティが研究室へやって来た時にはリーバとエリーが何かを話し合っていたようだ。何故かエリーが慌てた様子でリーバの口を塞ごうとしている。
「どうかしたんですか?」
「いやー。放課後に呼び出されるだなんてフィニティもワルになったものじゃの、という話をの」
「してないだろ?」
「うむ、センの言う通りしてなかったの」
「……結局何を話してたんですか?」
リーバがこうしてニヤニヤと笑いながら適当なことを言うときは、大体エリーをからかっている時だ。その証拠に、エリーは顔を真っ赤にしてリーバを追いかけ、そのお喋りな口を塞ごうとしている。このままだとリーバが余計なことを言ってしまうと判断したのだろう。
「何も! 何も話してないよ」
「本当ですか?」
首を傾げて問いかけるフィニティ。その悪意のない真っ直ぐな視線がエリーを貫き、後ろめたいことを抱えている彼女を動揺させる。そのせいだろう、せっかく塞ぐことができたリーバの口を押さえる手が緩んだのは。
「ぷはっ。何も隠すことないじゃろうに」
「いや、まぁ、そうかもしれないけど」
「隠してるんですか?」
「……ごめん、隠してた」
これ以上嘘はつけないと思ったのか、エリーは結局隠し事があることを暴露してしまった。その様子を見ていたセンは微笑ましいものを見るような視線を送っている。
やがてエリーは観念したかのように溜息を吐くと、リーバを押さえたままフィニティの方へと顔を向け、少しだけ困った表情を浮かべて話をし始めた。
「最近フィニティ元気なかったでしょ。それが心配だったって話」
「え?」
「え、じゃない。それくらい気が付くよ。その、友達だし」
友達、を強調したエリーは先ほど以上に顔を真っ赤にした。どうやら面と向かって関係性を主張したことが恥ずかしかったようだ。
「悩んでるなら相談してほしい。私だって心配になるし」
「……」
「無理はしないでほしいの。私にはフィニティが何を悩んでいるのかわからないけど、元気でいてほしい。それだけなんだ」
そう言った彼女の視線から隠し事は感じられない。彼女もフレムーと同様に、純粋にフィニティを心配しているだけなのだ。
味方。そう、彼女もセンもリーバもフィニティの味方なのだ。そのことに気が付くのに、少々時間がかかってしまったフィニティであった。
好きなゲームのリマスターが発表されました。
やったぜ。




