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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード2

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EP2-2 - 謎が深まる少女

ジャンルをファンタジーに変更しました。

寧ろなんで投稿時の私はこの話を文芸にしたんだろう。

 そうして目的の場所にたどり着いたのは、フィニティが言うように一時間ほど歩いた頃だ。その道中も特に道と呼べるようなものではなく、雑草がぼうぼうと生えた草原をかき分けるようにして進むこととなったが、フィニティによる薬草や毒草の解説があったためセンは時間を忘れて歩き続けることができた。


「ここです。あなたがやられた毒草は多分あれですね」


 彼女が指を差した先には、紫色のいかにも毒々しい花をつけた植物が生い茂っていた。その植物の茎部分には幾つもの鋭い棘が生えており、もし手で触れるのであれば革手袋でも装備していないと棘が刺さってしまいそうだった。夕暮れ時に足元を見ないで歩いていれば、この棘に引っかかってしまうのも仕方ないだろうとフィニティは言う。


「この草、トゲデビリリって言うんですけど、結構毒性が強いんですよね。体が動かなくなるので季節次第では凍死しちゃうらしいですよ」


 そう言ってトゲデビリリに近づくフィニティ。流石この山で育ったと自称するだけあって、山に自生している特徴のある植物は把握しているようだ。そんな彼女に、毒を受けた張本人が質問をする。


「そうだったのか。じゃあ、時間で毒は抜けないのか?」

「抜けないんじゃないんですかねぇ」


 他人事のように言うフィニティ。


「前にばっちゃんから話を聞いたときは治しようがないって言ってましたので」

「そうなのか」


 彼女が持つ薬草に関する知識は祖母によるものらしい。そうなると彼女の祖母は薬草の研究者なのだろうか。

 確かに街で調べたところ、ヤクノシュ山の薬草について取り扱っている薬学書はほとんどなかった。センがここに来ようと思ったのも、偶々古い書物に書かれていたからだ。その書物は『古代魔法研究会』という学校の同好会から借りたものであり、一般の書店に並んでいたものではない。もし彼女の祖母がこの山で薬草を研究していたのであれば、その知識があれば医学はもっと進歩していたかもしれない。

 惜しい人を亡くした、とセンは顔もわからない老人に対して追悼の祈りを捧げた。その後の道中、ふとフィニティの言葉が引っかかり、彼は山を下りながら隣を歩く彼女を問いただす。


「あの植物の毒って時間じゃ抜けないんだろ。なら君はどうやって僕を助けたんだ?」


 そう。彼女がどうやって自分を治療したのか、だ。これまでの薬草の知識を考えると薬か何かを調合して飲ましてくれたのかもしれない、そんなことを考えたセンであったが、返ってきた答えは彼の想像を超えるものだった。

 

「いや、魔法ですよ」

「そうか。……え、魔法?」

「はい。治癒魔法です」


 何を言っているんだこの子は。

 治癒魔法なんてこの世界には存在しないというのに。

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