表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/148

第8話 いじめっ子登場?

 今日は燐火(りんか)ちゃんと一緒に小学校に行く日だ。

 僕の姿が見えたら大騒ぎになるだろうから、魔法で姿を隠す事にした。

 これで他の魔法少女や魔の者以外に姿を見られる事は無いだろう。

 学校での授業は魔法王国と違う内容で楽しかった。

 でも気がかりな事があった。

 燐火(りんか)ちゃんが登校時もお昼休みも一人だった事だ。

 友達いないのかなぁ……

 休憩時間中は一人でノートに何かを必死に書き込んでいる。

 キャストタイムとリキャストタイムって何だろう?

 燐火(りんか)ちゃんが何に夢中になっているのか良く分からなかったが、授業が終わって帰る事になった。

 下駄箱で履き替えていると二人の男子が駆け寄って来た。

 遂に友達登場か?!

 確か、ガキ大将って感じの子が健斗君で、眼鏡の頭が良さそうな子が翔太君って呼ばれていたな。


「今日こそお前を倒す! 新たに手に入れた聖剣の力でな!」


 いきなり攻撃宣言?!

 しかも聖剣?!

 健斗君はスポーツ得意そうだから武器が似合うと思うけど、どうやって聖剣を手に入れたの?


「ふふっ、ラファエル。お前の聖剣が我に届くと思ったか? この前、我の殲滅(せんめつ)魔法で瞬殺されたのを忘れたのか?」


 燐火(りんか)ちゃんが右手を突き出して言った。

 えっ、ラファエル?

 健斗君じゃないの?!


「覚えていますよ、僕がね。大魔導士ラナ、全開の戦いでお前の殲滅(せんめつ)魔法のキャストタイムは把握した。僕の祝福の力を受けたラファエルの一撃なら君に届くよ」


 翔太君が指先で眼鏡のずれを直した。

 何の戦いが始まるの?

 燐火(りんか)ちゃんが魔法を使える事は知っているが、この二人も特別な力を持っているのか?


「甘いなミロス。常に研鑽を積む、だからこそ大魔導士なのだ。今日の私が昨日の私と同じだと思わない方がいい。魔道の道に終わりはないのだ!」

「そんな事は分かっている。それでもお前を越えて見せる! 俺は勇者なんだから!!」

「その意気ですよ。その勇気を認めたから、僕は神官になってサポートする事にしたんです。本当は僕も前衛職がやりたかったんですけどね」

「いいだろう。この大魔導士の私が相手をしてあげる。パパがうるさいから一時間だけだけね」

「よっしゃー! いつも通り19時からでいいよな? 必ず来いよ!」

「僕は18時からログインしてますよ。事前準備がありますので」


 健斗君と翔太君が笑顔で手を振って去っていった。

 燐火(りんか)ちゃんも笑顔で手を振り返している。

 子供とは思えない殺伐とした会話だったな……

 僕がパパとママに聞いていた話とは違う。

 放課後はかくれんぼやサッカーで遊ぶ約束をするって聞いていたのに……

 もしかして燐火(りんか)ちゃんは虐められている?

 でも笑顔だったから違うと思うとおもうけどなぁ……

 二人と燐火(りんか)ちゃんの関係が気になるが帰宅する事になったーー


「お前だな。強大な魔法をつかったのは?」


 二日前に魔女と戦った大通りで、全身黒づくめでマントを羽織った男性に声を掛けられた。

 強大な魔法を使ったって言ったよね。

 この人、燐火(りんか)ちゃんが魔法を使った事を知っている?

 敵かもしれないので、僕はとぼける事にした。


「何で僕達に声を掛けたのですか? 魔法なんてあるはずないでしょ。非常識ですよ」

「ウサギが話す方が非常識だろう? 喋ると言う事は、魔法王国の妖精なのだろう?」


 しまったーっ!

 僕の軽率な行動で魔法王国の関係者だってばれてしまった!


「魔法王国を知っている……貴方は何者ですか?」

「我は魔王……」


 燐火(りんか)ちゃんが男性の横を通って行った。


「ま、待て! そこの少女!」

「興味ないです」


 燐火(りんか)ちゃんが去っていく……


「待ってよ燐火(りんか)ちゃん。相手は魔王だよ」

「そうだぞ。我は魔王……」

「さようなら!」

燐火(りんか)ちゃんは何で魔王さんの話を聞かないの?」

「だって、魔王って倒したら終わりでしょ。アイテム落とさないから興味ない。疫病神(やくびょうがみ)みたいで大っ嫌い!!」

「や、疫病神(やくびょうがみ)……」


 魔王が倒れた。

 可愛い少女に疫病神(やくびょうがみ)扱いされた上に、大っ嫌いと言われたのが効いたのだろう……

 魔王も気になるが、健斗君達との約束の方が気になる。

 さようなら、名前を名乗る事すら出来なかった魔王……


 *


 約束の19時になった。

 何が行われるのか分からないけど、燐火(りんか)ちゃんの戦いを見届けないと。

 僕は何時でも出かけられるように待機していたが、燐火(りんか)ちゃんは何故かパソコンを操作してゲームを始めた。


「ねぇ、燐火(りんか)ちゃん。健斗君と翔太君に会いに行かないの? 19時から約束していたよね」

「してたよ。だから今戦闘中。ほら、この勇者のラファエルが健斗君のキャラで、この神官のミロスが翔太君」

「でも二人共いないよ? この部屋には僕と燐火(りんか)ちゃんしかいないじゃないか」

「テプちゃん知らないの? ネットワークで対戦出来るんだよ。健斗君と翔太君も自分の部屋で参加してるんだ」


 カルチャーショック!

 ゲームくらいパパに聞いていたから知っているよ。

 でも、ゲーム機につながっている二つのコントローラーで対戦するって言ってた!

 その場にいないのに対戦出来るなんて知らないよ!


「健斗君と翔太君ってゲーム仲間なの?」

「そうだよ。パソコンのゲームやってるの、同じ学年だと健斗君と翔太君しかいないから」

「じゃぁ、下校時の会話はゲームの話しだったの?」

「そうだよ。テプちゃんは何の話に聞こえていたの?」

「えっ、その、ゲームだよね……」


 僕は勘違いしていたことを誤魔化した。

 燐火(りんか)ちゃんに友達がいて良かった。

 変わった子だから心配してたんだよね。

 あれっ、何か忘れている様な気がするけど……なんだったかな……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ