表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/149

第62話 邪悪な勢力

 はぁ。

 僕はため息をついた。

 第三勢力って言うけど具体的に何をするのだろう?

 鉱魔(こうま)をコアに変えて倒そうとする蒼羽(あおは)さん達。

 鉱魔を守ろうとするしず子達。

 僕達は第三勢力だから、そのどちらとも違う事をするって事だよね?

 う~ん、思いつかないなぁ……


燐火(りんか)ちゃん、僕達は何をしたら良いの?」

「分からないよね~。困ったよね~」

「僕は真剣に聞いているんだよ。意地悪しないで教えてよ! 僕も仲間なんでしょ?」

「わたしも何をしたら良いのか分からないよ。テプちゃんも仲間だから一緒に悩もう!」

燐火(りんか)ちゃんは何も考えていないの?」

「考えているよ。答えが出ない悩みをね」


 大丈夫かなぁ~。

 燐火(りんか)ちゃんは、これから何をしたら良いのか全く決めていないよ。

 蒼羽(あおは)達とはそんなに親しくないから、しず子さんに直接聞いた方が良さそうだな。


燐火(りんか)ちゃん、しず子さんに鉱魔を守る理由を聞いてみるね」

「駄目だよテプちゃん」


 部屋を出ようとした僕を燐火(りんか)ちゃんが引き留めた。


「何でなの? しず子さんに鉱魔を守る理由を聞いた方が早いと思うけど?」

「それじゃ駄目だよ。悩み、迷いながら足掻(あが)いて戦う、それが主人公だよ。大人に聞いて答えを貰っても成長しないよ!」

「せ、成長しない?! それどころじゃないよね? 魔法少女どうしの戦いが始まっちゃたんだよ!」

「大丈夫だよ。心強い仲間を呼んでるから。明日公園で作戦会議をするから楽しみにしててね」


 心強い仲間かぁ……どうせ健斗(けんと)君と翔太(しょうた)君でしょ。

 纏蝶(てんちょう)さんや陽翔(はると)お兄さんはしず子さん達の仲間だろうからね。

 健斗君と翔太君は戦力としては期待出来ないけど、良い子達だから燐火(りんか)ちゃんが暴走したら止めてくれると思う。

 そういう意味では心強い味方になってくれるかな。

 明日の作戦会議で今後について相談しよう。

 さて、今日は疲れたから眠ろうかな。


燐火(りんか)ちゃん、疲れたから寝るね。おやすみ」

「おやすみテプちゃん」


 僕は押し入れの自室で眠った。

 翌日、朝食を食べて燐火(りんか)ちゃんと一緒に学校へ行った。

 今日も平和だなぁ~

 僕はいつも通り授業を受ける燐火(りんか)ちゃんの姿をロッカーの上の特等席から見学した。

 よしっ、放課後になったぞ。

 このまま健斗君と翔太君と一緒に公園に向かって作戦開始だ!


「今日はサッカーしようぜ! たまには運動しないとな」

「良いですよ。僕が解析しているデータはゲームだけではないからね。後悔しても知らないですよ?」

「データだけで俺に勝てると思うよなよ翔太」

「データだけではないさ健斗。さぁ、勝負の時間だ!」


 健斗君と翔太君が走って教室を出て行ってしまった。

 あれっ、燐火(りんか)ちゃんとの約束は?!

 もしかして忘れちゃったのかな?

 僕はロッカーから飛び降りて燐火(りんか)ちゃんの机に飛び乗った。


燐火(りんか)ちゃん、健斗君と翔太君が出て行っちゃったよ。今日の作戦会議どうするの?」

「予定通りやるよ。二人共関係ないからね」

「えっ、二人は関係ないの?! なら誰を呼んだの?」

「テプちゃんは二人を呼んだって想像してたんだね。あの二人はゲーム仲間だから危険な事に巻き込めないよ。呼んだのは別の仲間だよ」

「別の仲間? でも危険を承知で仲間になってくれる人っていたかなぁ……」

「会ってみてのお楽しみだね。さぁ、行こう!」


 燐火(りんか)ちゃんが僕を抱えて肩に乗せた。

 一体誰だろう?

 気になるけど考えるの止めよう。

 どうせ直ぐに会えるからね。

 僕は燐火(りんか)ちゃんと一緒に学校を出て公園に向かった。


「生きて戻れぬと分かっていながら、よく来たな」


 公園で待っていた人物が物騒な事を言った。

 魔王の様なセリフだが、魔王さんではない。

 魔王さん以外でこんな事を言える知り合いは冥王だけ……


「戻る必要などないからだ。立ち(ふさ)がる者は全て消し炭にして進むのみ」

「流石大魔導士。我が盟友となれるのは燐火(りんか)ちゃんだけだね」

「当然だよ芽衣子(めいこ)ちゃん。おまたせ! さっそく作戦会議をしよう!」


 燐火(りんか)ちゃんが芽衣子ちゃんと一緒にベンチに座った。

 呼んでいた仲間って冥王志望の芽衣子ちゃんの事だったんだね。

 今日もトレードマークのシャチが描かれたシャツを着ている。

 僕は二人の間に降ろされた。

 大魔導士と冥王のコンビか……

 僕達の勢力に正義はあるだろうか?

 少女二人とウサギ型妖精だからほのぼのしてるように見えるけど、邪悪な勢力にしかならなそうなんだよなぁ。

 妖精止めて魔獣になれって言われたらどうしよう?

 生贄にされたりはしないよね?

 どう猛なクマとシャチのシャツを着た二人に囲まれていると不安になるんだよね。

 どうしよう……不安だらけだー!


「さて、最初はどちらの勢力を滅ぼそうか?」

「三人組の魔法少女の方からにしよう! 奴らは攻撃魔法を使うからね」

「なるほど、残った方は治癒(ちゆ)魔法でしぶといだけだからな」

(あなど)るな。奴らは手強い。かつてわたしの仲間だった程の実力者なのだからな」


 芽衣子ちゃんと燐火(りんか)ちゃんが、いきなり物騒な事を言い始めた。

 かつて仲間だったってどういう事! 

 先週まで仲間だったよね?

 最近の事だよね?

 やっぱり駄目だ!

 僕が止めないと危険すぎるよ、この二人!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ