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第48話 鉱魔

 謎の生物を倒した3人の魔法少女が元の姿に戻った。

 青いジャージを着たポニーテールの少女と、セーラー服を来たショートカットの少女とお人形さんのような服装の金髪で巻き髪の少女。

 全員中学生くらいの年齢に見えるけど、どういう関係なのだろう?

 僕は3人の目の前に飛び出して話しかけた。


「そこのお姉さん。子馬って何ですか? 子馬じゃなくて、鉱物で出来た狼みたいでしたけど」

「うぁ、ウサギがしゃべりおった?!」

「ウサギはしゃべりませんよ。恐らく妖精か精霊の類ではないでしょうか?」

「何してるの? 動物と遊んでいる場合じゃないでしょ?」

「それもそうやな」

「分かったわよ蒼羽(あおは)


 三人の少女が立ち去ろうとした。

 あっ、逃げられちゃう。

 追いかけようと思ったが、3人が足を止めたので、勢い余って最後尾を歩いていた少女のかかとにぶつかってしまった。

 いてて、どうして止まったのだろう?


「どうやってアイテムを手に入れた? 入手方法を教えてもらおうか?」


 燐火(りんか)ちゃんが行く手を遮っていた。

 燐火(りんか)ちゃ~ん!

 悪役みたいな事を言わないでよ……いや、大魔導士だから似合っているのかな?


「悪ぶりたい年頃なんかね。子供に絡まれたよ」

星七(せいな)が番長に見えるからではないでしょうか?」

亜夕美(あゆみ)の言う通りね。星七(せいな)は私達の品格を落としているわよ」

「パツ金巻き髪野郎の蒼羽(あおは)に言われたくないわ!」


 星七(せいな)と呼ばれた青ジャージの少女叫んだ後、燐火(りんか)ちゃんの方を向いた。


「お嬢ちゃんのせいで無駄な話をする事になったよ。コイツはアイテムじゃないんだ。アイテムが欲しけりゃおもちゃ屋でも行ってきなよ」

「おもちゃには興味ないよ」


 燐火(りんか)ちゃんが愚者(ぐしゃ)の杖を具現化した。

 えっ、戦っちゃうの?!

 どうしたの燐火(りんか)ちゃん?!


燐火(りんか)ちゃん、戦うのは危険だよ!」


 僕は燐火(りんか)ちゃんと星七(せいな)さんの間に割って入った。


「なんや! この子も魔法が使えるみたいじゃないか」

「でも、出せるのは杖だけみたいですね。変身するだけの魔力が無いように見受けられます」

「私達と比較したら可哀そうでしょ? 特に私とはね」


 凄い自信だなぁ。

 燐火(りんか)ちゃんは変身出来ないけど、凶悪な火炎魔法を使う大魔導士なんだけどね。

 でも証明するのは難しいな。

 実際に魔法を使ったら町が壊滅しちゃうからね。

 一度、待ち合わせしているしず子さん達と合流した方が良いかな。


燐火(りんか)ちゃん、しず子さんたちを待たせているから帰ろうか?」

「駄目だよテプちゃん。話を聞いておかないと」

「珍しくこだわるね。どうしたの?」

「大魔導士フラマ・グランデが言った。アイテムの入手方法と敵の情報を見過ごす事は死を意味すると。アイテムの入手と敵の弱点の情報を知るのは大事だよ!」


 懐かしいな!

 出たよ大魔導士フラマ・グランデ!!

 大魔導士フラマ・グランデが言ったなら、諦めてくれないだろうな……


「面倒だから教えて差し上げたら。どうせ何も出来ないでしょうけど」


 金髪の少女が言った。


「それでは私から説明させて頂きます」


 ショートカットの女性が前に出た。


「あの生物は鉱魔。鉱物で出来た生命体です。倒すにはコアとなっている鉱物を製錬して取り出す必要があるの。そして、それを出来るのが大賢者アクイアス・セッテに選ばれた私達だけ。だから私達は鉱魔と戦っている。それがオーラクリスタルを与えられて魔法少女になった私達の使命だから」

「そういう事だ。だからこいつは子供のおもちゃじゃないんだよ」


 青いジャージの少女がさっきの戦いで手に入れていたパイライト・コアをバッグにしまった。

 そうだったのか……子馬じゃなくて、鉱魔だったんだね。

 大賢者アクイアス・セッテにオーラクリスタル……僕の知らない事だらけだな。


「教えてくれてありがとう。でも、お姉さん達騙されているよ」


 えっ、何言ってるの燐火(りんか)ちゃん?

 騙されている? 誰に?


「騙されているって誰にだよ」

「学年一位の私がですか? それは無いですよ」

「子供相手にムキになる必要はないでしょ。行くわよ!」


 僕達に背を向けて去ろうとした。


「黒幕は大賢者アクイアス・セッテ。今すぐ魔法少女を辞めないと後悔するよ」


 燐火(りんか)ちゃんが声をかけたが、3人の少女は去っていった。

 黒幕は大賢者アクイアス・セッテ?

 魔法少女を辞めないと後悔する?

 僕には燐火(りんか)ちゃんが言っている事も分からないよ!

 大魔導士だから大賢者が嫌いなのかな?

 もしかして、大賢者アクイアス・セッテも燐火(りんか)ちゃんが大好きなゲームの登場キャラクターなの?


燐火(りんか)ちゃん、何で魔法少女を辞めた方が良いって言ったの? 大賢者アクイアス・セッテは何の黒幕なの?」

「テプちゃん、あの人たちの話変だったよね?」

「どこが変なの? 僕は普通に聞こえたけど」

「変でしょ! 魔法少女に選ばれて敵と戦うなんて非常識だよ! 都合よく現れた賢者が敵を倒す能力を与えてくれるなんて、アニメと同じで現実じゃないよ!」


 えっ、それを言われたら僕の存在はどうなるの?

 僕達も魔法少女を生み出す力がある妖精なんだけど……


「気のせいだよ燐火(りんか)ちゃん。魔法は現実にあるし、魔法少女は存在するんだよ」

「ほっといていいの? 後で大変な事になっても知らないよ?」

「大丈夫、大丈夫! しず子さんと増子さんが待っているから行こう!」


 僕は待ち合わせ場所の喫茶店に向かって歩き始めた。

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