表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

149/149

最終話 燐火ちゃんを倒すのだ!

「テプ君! 広域魔法で敵の主力を叩いて! 急がないと敵の魔導士がくるよ!」


 芽衣子(めいこ)ちゃんから指令が来たのだ。

 敵の魔導士か……このタイミングで攻めてくるのは燐火(りんか)ちゃんしかいないよね。

 芽衣子(めいこ)ちゃんとの約束通り冥王軍に所属したからね。

 燐火(りんか)ちゃんと敵対することもあるのだ。

 今のうちに敵の軍勢を倒しておかないとね。

 燐火(りんか)ちゃんは手強いから。


「了解なのだ! 蹴散(けち)らせ! 珊瑚刺火(コーラルツリー)!!」


 カタカタカタカタ。

 目の前のキーボードが僕の意思通りに動き出す。

 纏蝶(てんちょう)さんが持ってきてくれたゲーミングパソコンが高性能で快適なのだ。

 今まではキーボードを自由自在に操作出来なくて燐火(りんか)ちゃんと一緒に遊べなかったけど、指で押す力を手に入れたから一緒にパソコンゲームが出来るようになったのだ。

 王様の仕事があるから、すぐに燐火(りんか)ちゃんに会いに行けないけどネットゲームなら毎日遊べるのだ!

 さぁ、敵を倒すのだ。

 僕の分身!

 テプ・グランデ!

 僕の操作するキャラクターが詠唱を終えると、炎の花弁が敵の軍勢に襲いかかった。


「敵を減らしたよ冥王様! 次はどうする?」

「油断しすぎ!」


 芽衣子(めいこ)ちゃんのキャラクターが僕のテプ・グランデを攻撃した。

 えっ?!

 一瞬驚いたけど、芽衣子(めいこ)ちゃんが何で僕を攻撃したのかすぐに分かった。

 テプ・グランデがいた足元から、刃のような炎の花弁が突き出ていたからだ。

 これは炎剣菖蒲(グラジオラス)

 このタイミングでフラマ・グランデの系譜の魔法を使う相手はただ一人!


燐火(りんか)ちゃん!」


 僕の後方の茂みからおかっぱ頭の女の子が出てきた。

 このフラマ・グランデと同じ髪型をしたキャラクターは大魔導士ラナ。

 燐火(りんか)ちゃんが操作するキャラクターなのだ。


「反応が鈍いねテプちゃん! それでもフラマ・グランデ様の後継者?」

燐火(りんか)ちゃんを倒すよ! 今日こそ冥王軍が勝つのだ!」

「ゲームは現実のように甘く無いのだ! わたしの方が先輩で実践経験豊富なんだよ! 大魔導士の先輩として指導してあげるのだ〜」

「僕だって本物のフラマ・グランデに認められた大魔導士だよ! こんどこそ燐火(りんか)ちゃんに勝つのだ!」


 燐火(りんか)ちゃん相手に小細工は不要!

 最大火力で倒すのだ!


 開闢(かいびゃく)より受け継ぎし原始の力

 連綿と続く魔道史において 比類なき永遠の炎よ

 我ここに示す

 真なる炎を前にして滅せぬものは存在せぬと

 万物を構成せし五行の力をもって顕現(けんげん)せよ

 燃え上がる恋のごとき灼熱の花


「「咲き誇れ! 紅 蓮 躑 躅(ロードデンドロン)!!」」


 僕と燐火(りんか)ちゃんの操作キャラが最強魔法を同時に使った。

 モニターに綺麗な炎の躑躅(つつじ)が表示された。

 花火みたいで綺麗だな〜。


「やられた! テプちゃん逃げて!」


 芽衣子(めいこ)ちゃんがやられた?!

 驚いて振り返ると神官が杖で殴りかかってきていた。


「翔太くん!」

「今の僕は神官ミロス! 究極魔法を使った直後であれば魔法を使えないだろう! 魔法を使えない大魔導士など杖で十分だ!」


 ああああっ!

 僕のテプ・グランデがボコボコに殴られているのだ。


「テプちゃん油断しすぎだよ! クールタイムが終わったらミロスと一緒に魔法で消し飛ばしてあげるから!」


 ボコボコにやられる僕を見て燐火(りんか)ちゃんが勝ち誇っている。

 でも……燐火(りんか)ちゃんの背後にも敵はいるのだ!


「唸れ聖剣! これが勇者ラファエル最大の一撃だ!」

「えっ? 健斗君?!」


 一瞬の隙をついた聖剣の一撃で燐火(りんか)ちゃんのキャラクターのライフゲージは一気になくなった。

 そして、僕のテプ・グランデも翔太君が操る神官ミロスと杖同士の殴り合いに負けてやられてしまったのだ。

 結局、燐火(りんか)ちゃんも僕たち冥王軍も健斗君と翔太君の勇者パーティーに負けてしまったのだ。

 うぐぅ〜。

 最初に不意打ちをうけたのが敗因だよなぁ。

 でも負けたのは残念だけど、みんなと一緒に遊べて楽しかったのだ。

 今日はこれで終わり。

 明日もお仕事頑張ろう!

 みんなにおやすみの挨拶をしたあとログアウトした。

 ふぅ。

 毎日ゲームで遊べるのは楽しいけど、やっぱり実際に会いに行きたいよね。

 お仕事忙しくて直ぐに会いに行けないけど、夏休みになったら燐火(りんか)ちゃんに会いに行く予定だ。

 夏休みの間だけ、僕の代わりにパパが仕事してくれるって言ってくれたからね。

 楽しみだなぁ。

 纏蝶(てんちょう)さんのお店で働き始めたしず子さんに会いに行きたいし、増子さんは最近陽翔(はると)お兄さんと一緒にいる事が多いみたいだから気になるよね。

 魔王さんと(じょう)さんと温泉に行って仕事の悩みを相談したい。

 四天王のバルンシーさんの新曲も気になるし、他の四天王さんも元気かな?

 ハバっちゃんはまだ増子さんの喫茶店で働いているから、神の世界で付き添ってくれたお礼をしにいかないとね。

 蒼羽さん達は受験勉強で忙しそうだから来年会おうかな。

 改めて思うけど、本当に良い仲間に出会えたよね。

 みんなともう一度会う為に頑張って本当に良かった!

 オハコとプレナにも事前に声をかけておかないと。

 一緒に会いに行きたいからね。

 僕たちの魔法少女(相棒)に!


 完

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ