第147話 反抗期なのだー!
今日は魔法王国に帰る日なのだ。
魔法王国へ転移する魔法陣がある公園に仲間たちがお見送りに来てくれた。
燐火ちゃんは来てくれていないけどね。
僕とお別れするのが辛かったのかな?
まぁいっか。
永遠の別れじゃないからね!
最初に僕とオハコとプレナでお別れの挨拶をする事にした。
「みんなありがとう。一年間楽しかったのだ。また遊ぼうね!」
「一年間楽しかったぜ! 俺様がいなくなっても頑張れよ!」
「俺っちは毎日昼寝が出来て楽しかったぞ〜。今も眠い〜」
またプレナは眠いのか。
みんな笑っているよ。
このまま仲良く笑っていたいけど時間は限られている。
次は魔法少女としての能力を返してもらうのだ。
僕は燐火ちゃんから変身ブローチを返してもらっているから、あとはしず子さんと増子さんだけだ。
「オハコ、今までありがとう」
しず子さんが変身ブローチをオハコに返した。
「あっさり返したな。もう癒しの力は不要なのか?」
「不要ですよ〜。オハコが力をくれたおかげで気づけたから。奇跡の癒しの力を手に入れても過去に失った人を取り戻せないって。私が救いたい人は身体的な癒しでは救えないって。今後はちゃんと働いて大切な人を支えるよ。素直になるから」
「そうか。立派になったな。さすが俺様の相棒だ」
「オハコの生意気は治らなかったけどね」
「ふっ、俺様は簡単には変わらねぇよ。じゃあな、しず子」
「元気でねオハコ」
どうやらオハコとしず子さんは無事にお別れ出来たようだ。
「僕も変身ブローチを返さないとね。今までありがとうプレナ」
増子さんがプレナに変身ブローチを返した。
「感謝されるような事はしてないぞ〜」
「魔法少女になる夢を叶えてくれただろ?」
「魔法少女になる事しか叶えてあげられなかったけどね〜」
「それで十分だ! 勇気をもらえたよ!」
「そっか。変身能力は無くなったけど、魔法は使えるから気をつけろよ〜」
「何言ってるんだ? 変身出来ないから魔法は使えないと思うぞ
」
「いや、あれは……その……今までの経験で変身しなくても魔法を使える何かに目覚めたかもしれないよ〜」
「プレナは冗談が上手くなったな」
プレナはうまく説明が出来なくて困っている。
増子さんの能力は超能力だから、変身出来なくなっても使えるんだよね。
超能力って言ってしまえば簡単だけど、夢を壊したく無いから大変だよね。
僕も友達とお別れの挨拶をしないとね。
一番友達が多いからね。
「テプちゃ〜ん。頼まれておいたものは発注しておいたわよ」
「ありがとうございます纏蝶さん!」
「いいのよ〜。テプちゃんのおかげで宿敵の七つの大罪を全員倒せたんだから」
「必ず受け取りにきますからお願いします」
「おいおい、蒼真とばっかり話すなよ。魔法王国に帰っても忘れるなよ。ピンチの時は必ず怪盗ガウチョパンツが助けにくるからな」
「ありがとうございます陽翔お兄さん」
「だから怪盗ガウチョパンツだって!」
「興奮するな青年。テプは人気者なのだから他の者どもが困るだろ」
「魔王さん! 来てくれたんですね!」
「あぁ。大事なテプの門出だからな。四天王やバルギアンのカイニィ、エイビィも会いたがっていたが全員は連れて来れなかった。賢者の石の事を聞いたぞ。無事に解決出来て安心したぞ」
「僕一人では無理でした。無事に解決出来たのは助けてくれた人がいたからです」
「助けてくれる人が現れるのもテプの力だ。誰かに助けたいと思ってもらえるのはテプが立派だからだ」
「そうですよ。おじさんもテプ殿を助けたいと思うからね」
「ありがとう条さん。条さんも同じだよ。僕も条さんを助けたいと思うから!」
「おじさんこそ! いつもテプ殿が真剣に悩みを聞いてくれて嬉しかったよ」
「ちょっと! 私を忘れていない? 後回しにしないでよ!」
「ごめん芽衣子ちゃん」
「謝っても許さないんだから! 永遠に冥王軍で働いてもらうからね!」
「魔法王国には冥王軍はないのだ」
「テプ君が冥王軍魔法王国アニマ・レグヌム支部長になるの!」
「えええええっ!」
「えええええっじゃない! 定時連絡しないと怒るよ!」
「わかったのだ。魔法王国に帰ってからも連絡するのだ」
「なら行ってよしっ!」
これでみんなと挨拶出来たのだ。
最後に纏蝶さんにもらった物を返した。
この世界で手に入れた物を魔法王国に持ち帰れないからね。
これで本当に最後なのだ。
「じゃあねなのだ!」
僕たちは尻尾を振りながら魔法陣に入り魔法王国に転移したのだ。
魔法王国に帰ってすぐ王宮に向かってパパと面会した。
「よく戻ったアルタロネクタネブ・アバ・センタンクトロルテプ6世よ。数々の宿敵を討った功績で首席に選ばれた。光栄に思うがよい」
「パパ、それならまた異世界に遊びに行ってもいいかな?」
「それはならん。異世界留学は一年だけだ。今年は別の子供たちが魔法少女を選びに旅立つ。今後アルタロネクタネブが異世界に行く事はない。未来の国王として魔法学校で学ぶのだ」
「それがパパの決断なの?」
「国王としての決断だ」
「やっぱりそうなるか。じゃぁいいや」
僕はパパと交渉するのを止めて自室に戻った。
やっぱり話しても無駄かぁ。
簡単には魔法王国の伝統を破ってはくれないよね。
仕方ないから僕は久しぶりの自室でゆっくり休む事にした。
一週間後、新学期を迎えたので魔法学校に登校した。
今日は異世界から帰還した妖精たちを表彰する式典が開催されるのだ。
僕は首席として挨拶する為に壇上にあがった。
異世界で活躍した妖精たちを表彰する為に国王であるパパもいる。
やるならこのタイミングしかないのだ!
ぷぅ〜。
僕はパパにお尻を向けてオナラをした。
「なんの真似だアルタロネクタネブ!」
パパが怒っている。
当然だよね。
おめでたい式典で僕が決闘の合図をしたのだから。
「僕が国王になるのだ! 反抗期なのだー!」
僕が叫ぶと大騒ぎになった。
国王の息子が決闘を申し込む事など前代未聞。
僕だって出来れば戦いたく無い。
でも、もう一度燐火ちゃんと会うには、僕がパパを倒して国王になるしかないのだ!




