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第134話 一件落着?!

燐火(りんか)ちゃん! もう一回極大紅蓮躑躅ロードデンドロン・グランデを使おう!」

「連発しても無駄だよ! もっと魔力がないと!」


 もっと魔力が必要なの?

 それって僕の力次第って事だよね。

 ハバっちゃんがくれた力のお陰で神獣王モードになれたから補助魔法無しで極大紅蓮躑躅ロードデンドロン・グランデを使える様になったけど、それでも力が足りないのかぁ。

 誰かにもらった力だけではダメなのかな?

 どうしたら、もっと力を出せるのかなぁ?


『神に至れ』


 あれっ、誰かに声をかけられた様な気がするけど気のせいかな。

 僕のそばには燐火(りんか)ちゃんしかいないから。

 神に至れかぁ。

 僕は妖精だから神様とは違うんだけどなぁ。

 でも言っている事はなんとなく分かる。

 燐火(りんか)ちゃんが使う火炎魔法は原始の炎。

 神様が与えた神様自身の力だからね。

 僕が神様に近づけば、燐火(りんか)ちゃんの魔法も強くなると思うよ。

 無駄だと思うけど、他に方法がないから頑張るのだ!


「僕は神様王様だいっ! すごいぞ! 強いぞ! 偉大(いだい)だぞ!」

「な、何言ってるのテプちゃん……怖いよ」

「静かにしてて! 頑張ってるから! ぬううううん!」

「テプちゃんがおかしくなっちゃった?!」


 燐火(りんか)ちゃんが戸惑(とまど)っているけど気にしない。

 今は僕の力を最大限発揮するのだ!


「きゅるるるるう〜っ! きゅっ!!」


 あれっ、急に明るくなった。

 目の前に黄金の光が現れたから驚いたのだ!


「テプちゃんが黄金に(かがや)いているよ! どうしたの?!」


 僕が黄金に輝いている?

 元々神獣王モードでは黄金に(かがや)いていたと思うけど?

 もしかして、もっと(かがや)きが増した?

 それってパワーアップしたって事だよね?


燐火(りんか)ちゃん! 今なら極大紅蓮躑躅ロードデンドロン・グランデの本当の力が発揮(はっき)出来るかも!」

「テプちゃん! やってみるね!」


 燐火(りんか)ちゃんが愚者(ぐしゃ)の杖を構えて詠唱(えいしょう)を始めた。


 開闢(かいびゃく)より(たまわ)りし真の力

 あらゆる次元において 比類なき永久(とわ)の炎よ

 我らは示す真なる炎を前にして 滅せぬものは存在せぬと

 万物を構成せし五行の力を越えて顕現(けんげん)せよ

 燃え上がる恋より赤き 偉大な神の花

 力持たぬ者が(こいねが)う幻想すら超えて!


「咲き誇れ! |極 大 紅 蓮 躑 ロードデンドロン・グランデ!!」


 見たこともない様な巨大な炎の躑躅(つつじ)がグリヌストスの頭の上に現れた。


「離れろおおおおおお!」


 魔王さんの悲鳴のような叫び声が聞こえたと同時に目の前から全てが消え去った。

 グリヌストスだけではない、気色が悪い森や大地、遠くに見えた海までも消え去っていった……

 僕は……僕たちは……一体何をしてしまったのだろう?


「やったよテプちゃん! これで魔界は平和だね!」

燐火(りんか)ちゃん……でも魔界が……」

「大丈夫だよテプちゃん! しず子さんが直してくれるから!」


 しず子さんが直してくれるか……その通りなんだけど。

 今までやってきた事と変わらないハズなのに気分が晴れない。

 なんでだろう?


「テプちゃん、魔界のみんなのところに戻ろう」

「うん……」


 僕はすっきりしないまま金剛宮殿に戻った。

 僕たちを助ける為に来てくれた魔王さんやバルギアンの皆んなも戻ってきた。

 そして宿敵のグリヌストスを倒したお祝いのパーティーが始まった。

 これで永きにわたり続いてきたネイラスティアの民とバルギアンの争いは終わるだろう。


「ちょっといいかテプ」

「魔王さん?」

「話がある」


 僕はうなずいて魔王さんについて行った。

 魔王さんの部屋に入ると、魔王さんがテーブルの上に見た事がないお菓子を用意してくれた。


「テプよ。あの少女が持っている賢者の石を渡せ」


 賢者の石を渡せか。

 忘れていたけど、魔王さんと四天王さんの目的は燐火(りんか)ちゃんが持っている賢者の石だったね。

 最初に会った頃は聞き流していたけど、今は友達だから話を聞いてみよう。


「なんで魔王さんは賢者の石を狙っているんですか?」

「過ぎた力は危険だからだ」

「力がたくさんあった方が色々出来て良いと思いますよ。僕は早く大人になって色々出来る様にないたいです」

「確かに大人になって色々出来る様になる事は良い事だ。でも強大な力には責任がともなう。まだ子供の君たちに背負わせるには重すぎるんだ。賢者の石の力は。取り返しがつかない事を起してしまう前に渡して欲しい」


 取り返しがつかない事を起こす前にかぁ。

 そうだよね、本当はもう取り返しがつかない事をしているんだ。

 でもしず子さんや増子さんが助けてくれていた。

 纏蝶(てんちょう)さんや怪盗ガウチョパンツだって同じ。

 周りの大人が僕たちを支えていてくれたから後悔しなくて済んでいたんだ。

 魔界に来てみんなと離れて気づく事が出来た。

 今の僕の心が晴れない理由が……


「賢者の石は僕の物ではないので燐火(りんか)ちゃんに相談してみます」

「そうか。これから先、あの娘に何かあった時はテプが守ってやれ。テプは子供だが一人前の男だからな」

「僕が?」

「そうだ。テプは我と(じょう)が認めた親友だからな」

「ありがとうございます!」

「さぁ、お菓子はたくさんある。お土産に持っていくがよい」

「お土産?」


 ここで食べるから、お土産まではいらないけどなぁ……ああああああっ!

 忘れていた!!

 僕はホワイトデーのお返しを買うためのお金を為に魔界に来たんだった!


「ありがたくいただきます! 6人分!!」


 僕はホワイトデーのお返し用のお菓子を魔王さんに用意してもらった。

 これで安心して帰れるのだ!!

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