第133話 グリヌストスとの対決!
足が八本ある巨大なお馬さんが百頭以上走ってきたのだ!
おめめが沢山あって気持ち悪いのだ!
これがグリヌストス?
燐火ちゃんが愚者の杖を具現化して詠唱を始めた。
開闢より賜りし真の力
あらゆる次元において 比類なき永久の炎よ
我らは示す
全てを貫きし灼熱の千刃を持って大地を穿ち
我らの敵を討つと顕現せよ!
全てを貫きし気高き勝利の花々よ!
「貫け! 無限炎剣菖蒲!!」
地面から炎の花弁が次々に突き出し、謎の魔獣を焼き尽くした。
敵を追尾して足元から無限に出てくる炎の花弁で串刺しにする無限炎剣菖蒲なら相手が誰でも負けないのだ!
これで終わりかな?
おおっと!
森から何か飛び出してきたのでとっさに避けた。
これは枝?!
驚いていると森から枝が沢山伸びてきた。
「森が攻撃してきたのだ! 燐火ちゃん捕まっててね!」
びゅ〜ん!
僕は器用に飛び回って森の攻撃を避けた。
森が攻撃してくるなんて聞いてないよ!
敵はグリヌストスじゃないの?!
「テプちゃん! 森を焼き払うよ!」
燐火ちゃんが詠唱を始めた。
これは新しい魔法?
開闢より賜りし無限の力
猛獣の牙より鋭き劫火の牙よ
無限に増殖し 我に仇なす全ての敵を絡め取れ
出でよ! 世界樹の如き生命の花々よ!
「蹴散らせ! 自己相似珊瑚刺火!!」
これは珊瑚刺火のパワーアップ版?
炎の花弁が綺麗な模様を描きながら広がっていく。
怖い森が焼けていく……
「森がなくなっちゃったね……」
「大丈夫! 肥料になって新しい森が生まれるから!」
「本当に?」
「た、多分……」
もしかして燐火ちゃん自信ないのかな?
自然破壊したら怒られそうだけど、この森が自然だったのかは僕にも分からない。
グリヌストスを倒したら、魔界の地形を破壊しても許してもらえるかなぁ……
「ぼけっとしてるヒマはないよテプちゃん。空飛ぶ敵が出てきたよ」
頭が六個ある巨大な鳥が群れで飛んできていた。
あんなに頭があったら重くて飛ぶのが大変そうだなぁ……じゃなくて直ぐに攻撃しないと!
なんで魔王さんの結界を越えただけで狙われるのだろう?
僕たちが部外者だって分かっているのかな?
「相手は空を飛んでいるけど攻撃出来る?」
「大丈夫だよ! 空を飛んでいる相手を倒すために、この魔法があるから!」
再び燐火ちゃんが詠唱を始めた。
僕は必死に飛行する敵から距離を取った。
なんとか近づかれる前に詠唱終わるかな?
難を転じる逆転の果実よ
全ての苦難の超える 数多の実を結び
我が望む勝利の為に弾け飛べ
光輝く勝利の実!
「弾けろ! 赫 々 南 天!!」
炎で出来た無数の果実が謎の巨大な鳥さんを追いかけて撃ち落とす。
あれっ、今の僕は神獣王モードなのに通常版の魔法のままだ。
「燐火ちゃん、赫 々 南 天はパワーアップしないの?」
「うん。赫々南天は元々強化しないと使えない大魔法だから強化は出来ないよ。大魔導師フラマ・グランデ様の必殺魔法なんだよ!」
「そ、そうなんだ。どれがグリヌストスだったのかな?」
「多分いなかったと思うよ。弱すぎるから」
「よく分かったな。我がグリヌストスだ」
ドガアアアアン!
ものすごい音を立てて地面から巨大な蛇が出てきた。
これがグリヌストス?!
「テプちゃん! 一気に倒すよ!!」
背中に乗っている燐火ちゃんから焦りを感じた。
燐火ちゃんが焦るほどの強敵なのかな?
直ぐに燐火ちゃんが詠唱を始めた。
開闢より賜りし真の力
あらゆる次元において 比類なき永久の炎よ
我らは示す
全てを貫きし灼熱の千刃を持って大地を穿ち
我らの敵を討つと顕現せよ!
全てを貫きし気高き勝利の花々よ!
「貫け! 無限炎剣菖蒲!!」
無数に生える炎の花弁がグリヌストスを貫いて……いない?!
「この火力……グランデに連なる者か?」
グリヌストスは余裕のようだ。
「全然効いてないけど大丈夫?」
「今のは最初から牽制用だよ! 本番はこれからだよ!」
燐火ちゃんがかすれ声で詠唱を始めた。
連続で魔法を詠唱しているからノドに負担がかかっているみたいなのだ。
開闢より賜りし真の力
あらゆる次元において 比類なき永久の炎よ
我らは示す
真なる炎を前にして 滅せぬものは存在せぬと
万物を構成せし五行の力を越えて顕現せよ
燃え上がる恋より赤き 偉大な神の花
力持たぬ者が希う幻想すら超えて!
「咲き誇れ! 極大紅蓮躑躅!!」
燐火ちゃんの最強魔法がグリヌストスに直撃した。
巨大な炎の躑躅が巨大なグリヌストスの体を焼いていく。
「まさか原始の炎まで操れる者がまだ存在したのか。油断していた。だが!」
グリヌストスが口から光線を吐いた。
避けられない!
ガガガガッ!
僕の前で何かがぶつかる音が聞こえた。
目を開けると魔王さんがいた。
「やっと追いついた」
「助けに来てくれたんですね」
「最初から一緒に戦うつもりだった。結界の力をテプを守る為に使った。もう結界を修復する事は出来ぬ。ここで決着をつけろ!」
「分かったよ魔王さん! グリヌストスに止めをさすよ燐火ちゃん!」
「了解だよ! もう一回最強魔法を使うよ!」
燐火ちゃんが愚者の杖を構えた。




