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第129話 全面戦争?!

「あの〜。僕が王様で良いのですか?」

「当然だ。テプ様こそ予言の者だ」

「だから最初から言っていただろう。テプこそ予言の者だとな」


 まだ納得いかないけど、カイニィさんとエイビィさんは僕が予言の者で間違いないと言っている。

 そもそも予言の者ってなんだろう?

 バルギアンの最後の王って言っていたけど情報が少なすぎる。


「ところで予言の者ってなんですか?」

「すっごい賢いヤツが最後の王様になるらしい!」

「最後の王が争いを終わらせるかもしれないらしいぜ!」


 カイニィさんとエイビィさんが自信満々に言ったけど、うわさ程度の情報しか得られない。

 こんなんで王様決めていいのかなぁ。

 一応、燐火(りんか)ちゃんにも聞いてみよう。


「僕バルギアンの王様になっちゃったみたいだけど、どうしたら良いのかな?」

「面白そうだから王様やってみようよ。テプちゃんのパパも王様なんでしょ?」

「うん、パパは魔法王国アニマ・レグヌムの王様だよ。僕もりっぱな王様を目指しているけど、まだ早いと思うけどなぁ」

「せっかくだから練習してみようよ」

「練習に使ったら失礼だと思うけどなぁ」

「大丈夫! 王様らしく堂々と名乗ってみようよ」


 う〜ん。

 どうしたらいいか分からないから、燐火(りんか)ちゃんの言う通り王様らしく名乗ってみようかな。


「我はアルタロネクタネブ・アバ・センタンクトロルテプ6世。今日から我がバルギアンの王だ!」

「うおおおおおおおっ! 伝説の王の様な凄い長い名だ!」

「皆を呼んできます! 偉大なる王の帰還だ!」


 エイビィさんが他の仲間を呼びにいってしまった。

 偉大なる王の帰還かぁ……さっき来たばかりなんですけどね!

 色々な姿のバルギアンが王の洞穴に集まってきた。

 カニさんやエビさん以外にもイカとかタコさんみたいな姿のバルギアンがいた。

 バルギアンは海の生き物が人型になった存在なんだね。

 1時間くらいでバルギアン全部の種族の長が集まった。

 そして僕の戴冠式(たいかんしき)が始まったのだ。

 お食事は美味しかったけど、エビの姿のエイビィさんの目の前でエビ料理を食べるのは気まずかったなぁ。

 カニ料理を勧めるカイニィさんも裏がありそうで怖いのだ。

 見た目は似てるけど、別の生き物だから大丈夫なんだよね?

 少し気まずい思いをしたけど戴冠式は無事に終わり、僕は正式にバルギアン達の王様になったのだ。

 海藻で出来た王冠が少し気持ち悪いけど、これから平和の為に頑張るのだ!


「みなさん! 僕はネイラスティアの民と本当の意味で和平条約を結ぼうと思う! 僕がいれば言語や文化の違いで争いを生む事はなくなるのだ!」

「王の言う通りだ! 我々はネイラスティアの民の事を誤解していた!」

「我らの意思を王が届けてくれるぞ!」

「平和の為に立ち上がるのだ!」

「我らバルギアンが世界を平和にするのだ!」


 僕が偉そうに言うとバルギアンの長達が拍手で(たた)えてくれた。

 平和を願う意志はみんな同じなんだ!

 僕が代表でバルギアンの意思をネイラスティアの民に伝える。

 分かり合えるんだ!

 僕たちは!!


燐火(りんか)ちゃん、いっしょに行こう!」

「うん。ほらっ、テプちゃん乗って」


 僕は燐火(りんか)ちゃんの肩に乗った。

 燐火(りんか)ちゃんが洞穴を出るとバルギアンの長達がついてきた。

 洞穴を出ると視界を埋め尽くすほどの大勢のバルギアン達がひざまずいていた。


「最終王アルタロネクタネブ・アバ・センタンクトロルテプ6世の出陣である!」


 カイニィ元王の号令で僕たちはネイラスティアの民の首都にある金剛宮殿を目指して出発した。

 金剛宮殿は、かつてネイラスティアの皇帝タルディアス二世がバルギアンの王国バルギノルと和平協定である金剛協定を結んだ地なのだ。

 今度こそ、バルギアンとネイラスティアの民を仲直りさせるのだ!

 旅を続けていると城壁が見えてきた。

 城壁が高いから首都の中は見えないけど、城壁より高い光り輝く塔が見えた。

 あれが金剛宮殿か。


「みんな! 平和の意思を伝えるのだ!」

「我らはネイラスティアの民と仲良くなりたいのだ!」

「迷惑かけてごめん!」

「お詫びに美味い飯食わせてやるからさ」


 十万を超えるバルギアン達が平和の為に声をあげた。

 一人一人は小さい声かもしれない。

 でもみんなで伝えたら必ず伝わる!

 頑張れバルギアンのみんな!

 僕は必死に平和をうったえかけるバルギアン達を見て満足した。

 これだけ必死なら、きっとネイラスティアの民にも伝わるよ。


「ねぇテプちゃん? なんで大声で威嚇(いかく)してるの?」

「何を言っているの燐火(りんか)ちゃん? みんな必死に仲良くしたいって言っているでしょ?」

「えっ、でも大声で威嚇(いかく)しているようにしか見えないよ。言葉分からないし」


 あっ、忘れていた……

 僕はバルギアン達の言葉が普通に理解出来ていたけど、ネイラスティアの民はバルギアンの言葉を知らないんだった。

 カンカンカン!

 ネイラスティアの首都から警報のような音が鳴っている。

 もしかして戦争を仕掛けたと誤解されちゃった?!

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