第106話 ネタバレ
今日は燐火ちゃんと一緒に纏蝶さんのお店で嘆願石を交換する日だ。
燐火ちゃんが交換する製品を選んでいるが、いつもと様子が違うのが気になる。
いつもなら自分で交換するアイテムを探すのだが、今日は纏蝶さんに色々聞きながら選んでいるのだ。
燐火ちゃんが探しているのは捕縛用のアイテムか……何に使うんだろう?
この前の戦いで危ない目にあったから、魔法で倒しちゃいけない相手を捕まえる為に使うのだろうか?
「このアイテムは強力な電撃で痺れさせる効果があるわよ」
「ケガさせないで捕まえるアイテムはないかな? 蜘蛛の巣みたいなので捕まえるとか」
「蜘蛛の巣はないわね。これならどうかしら? 影を縫い付ける効果があるわよ」
「どうやって使うの?」
「こうやって床に設置するのよ。相手の影が重なると、影を伝って相手の動きを止められるのよ」
「纏蝶さん、これにします!」
「影が無くなると効果が無くなるから明りには気を付けてね」
「うん」
「でもこんな面倒なアイテムを何に使うの? 敵と戦うなら電撃の方が効果的だと思うけど?」
「捕まえるのは敵じゃないからコッチの方が良いんだよ。テプちゃん、早く帰って設置しようよ!」
どうやら交換するアイテムが決まったようだ。
僕は燐火ちゃんと一緒にお家に帰った。
「テプちゃん、ちょっといいかな?」
珍しく燐火ちゃんのパパさんに呼び止められた。
「何の話ですか? 用事がないから大丈夫ですけど」
「じゃあ、わたしは部屋でゲームしてるね」
燐火ちゃんが2階の自室に行った。
僕はパパさんに車で連れられて、ショッピングモールに連れられてきた。
駐車場に車を止めた後にパパさんが話しかけて来た。
「テプちゃんはクリスマスって知ってるかい?」
「燐火ちゃんから聞いてますよ。サンタさんって人がプレゼントをくれるんですよね」
「燐火らしいな。まぁ、本来の意味は違うけど、そういうイベントがあるのは間違っていないね。でもプレゼントを渡すのはサンタさんではなくて僕なんだ。燐火が何を欲しがっているか教えて欲しいんだけど心当たりある?」
ガーン!
何そのネタバレ!
僕だってサンタさんがいるって夢を見ていたかったよ!
燐火ちゃんはサンタさんを信じているから、僕は知らない振りをしないといけなくなったじゃないか!
僕はムスッとパパさんをにらんだ。
「怒らないでくれよ~。他に相談出来る相手がいなかったんだからさ。燐火は普通の子と趣味が違うから毎回プレゼント選びに失敗するんだよ。ママからは怒られるし大変なんだよ。でも今回はテプちゃんがいるからね。いつも一緒にいるテプちゃんなら分かるんじゃないかな?」
仕方がないから許そうかな。
パパさんが困っているし、燐火ちゃんの為でもある。
燐火ちゃんが欲しいものを思い浮かべた。
う~ん。
最初に思い浮かんだのはゲームのレアアイテムだった。
でも毎日遊んでいる燐火ちゃんでも入手が困難なのに、遊んだ事もないパパさんでは入手する事は出来ないだろうな。
ゲームのアイテム以外だと、纏蝶さんのお店のアイテムかな。
でも、あのお店って普通のお金で買えるのかな?
それに呪われそうな物も多いから危険なんだよなぁ。
パパさんを連れて行って事故が起きてもいやだな。
他には……無いな……
燐火ちゃんが喜ぶプレゼントを選ぶことは殆ど不可能に近い。
でも一応パパさんに聞かれているから答えない訳にはいかないよね。
無難にゲームのアイテムって言っておこうかな。
「燐火ちゃんはゲームのレアアイテムを欲しがってたです。でも手に入れるのは大変だからプレゼントするのは難しいと思います」
「そうなのか。でもゲームのアイテムなら安いんじゃないのか? 売ってるところはないの?」
パパさあああああん!!
それやったらリアルマネートレードになっちゃうよ!
パパさんはゲーム詳しくないから知らないのかもしれないけど、現金でアイテムを買ったらダメなんだよ!
リアルマネートレードでアカウントが消されたら燐火ちゃんが発狂するよ!
「パパさん、ゲームのアイテムをお金で買うのはダメなんですよ」
「そうなのか。知らなかったよ。でも僕が今からゲームを初めてもレアアイテムなんて手に入らないんだよね?」
パパさんがスマホでゲームの公式サイトを検索している。
「簡単に手に入ったらレアアイテムじゃないですからね。他にいい案があれば良いのだけど……」
「テプちゃん、ゲームのアイテムを買っちゃいけないって言ってたけど、公式サイトでゲームのアイテムを売ってるよ」
パパさんがスマホを見せてきた。
画面に映し出されていいたのは、サンタクロースの格好をした中年男性だった。
フラマ・グランデ クリスマスバージョンフィギュア……
何やってるのフラマ・グランデ!
そういうキャラじゃないでしょ!
でもプレゼントは決まったかな。
フラマ・グランデのグッズなら確実に喜ぶと思うから。




