パート8:種族と種族(6)
「よし、ならこっちも荒く行くぞ!」
そう叫びながら走ってきた魔族はミッドカー。そして残りの1人も一緒だった。彼らの手から立ち上った獄炎の腕がシュリに飛んできた。だがシュリが大剣を振り回すと、その攻撃は空間ごとに割れて消滅した。
「魔王の八剣、貰うぞ!」
ジトラが叫んだ。直後、シュリの周辺に8つの魔法陣が展開された。〈滅界八陣雷爆〉の華麗な雷電が爆発した。しかしシュリが大剣を振り回して空間を切り、それが瞬間維持され、雷電を防ぐ空間の壁となった。
「剣の力を上手く活用するんだな」
空間の壁が消えた瞬間、ゲントロンが手に〈地獄の手〉の獄炎を宿したまま飛びかかった。そして反対側からはジトラが魔剣を振り回してきた。シュリはゲントロンには大剣、ジトラには直剣で立ち向かった。その隙を狙って残りの2人の魔族も魔法を撃った。
「ふん」
直剣を握った手をひねってジトラの魔剣を弾き出し、飛んでくる魔法に一閃。同時に体を回して大剣で周辺を襲った。タザインの力が空間を裂いて接近できない領域を作った。しかし、魔族達はその領域の向こうで一斉に魔法を撃った。
「タザインは強力だが、空間を切断した傷痕がしばらく残留する。そしてその為、タザインの保有者でさえ身動きが制限される両刃の剣である」
そう言ったゲントロンは火炎弾を相次いで撃った。
「間違った言葉ではないわね」
シュリは直剣を振り回し、すべての魔法を迎撃した。そして空間の傷痕が消えた瞬間、
直ちにミッドカーに向かって突進した。大剣の斬撃がミッドカーを狙った。
「うわっ!?」
「早い!」
ミッドカーはあたふたと避けた。魔剣を握ったジトラがその空席の代わりをした。ジトラの魔剣がシュリの首を、ゲントロンの拳がシュリの背中を、そしてミッドカーと残りの1人の魔法がそれぞれ両サイドを狙った。
シュリは体をかがめてジトラの魔剣を避け、後ろに大剣を振り回してゲントロンを牽制した。そして少し遅れて飛んできた両脇の魔法は直剣を2度振り回して払った。続いてジトラが剣を振り下ろしたが、素早く引き返した直剣でその攻撃を受け流した。しかし反撃しようとした瞬間、ゲントロンの拳が飛んできた。
――面倒くさいわね。
シュリは内心舌打ちをした。
対応は可能だが、やはり4人を一度に相手にするのは面倒だった。今のところ、魔剣の力で防御と牽制をする程度が限界。やはりこちらの攻撃力が足りない。
しかし、魔族達はそれなりに腹を立てた。
「ちくしょう、俺らを相手に速度でリードするとは。なかなかの奴だぜ」
「悔しいが、その通りだ。スピードも速いし、魔法を扱うのが上手」
「ところで何故魔法は使わないのか?」
――そう、悩んで。悩んで時間を無駄にしてくれたらもっと嬉しいし。
シュリの勝利条件は〈大魔の行進〉を解除するまで時間を稼ぐこと。〈大魔の行進〉さえ解除すれば、魔法を動員して魔族を制圧できる。
そして魔族らは〈ビサナのゆりかご〉の隔離能力のせいで、外の状況を知ることができない。〈大魔の行進〉が邪魔されてまともに機能していないことを知らない以上、急いで状況を変えようとはしないだろう。
シュリはそう思っていたが、状況はそう簡単ではなかった。
「お前ら。〈大魔の行進〉はどうなったか?」
ゲントロンが他の魔族にそんな質問を投げかけた。その瞬間シュリがミッドカーに向かって飛びかかったが、ゲントロンがシュリの前を塞いだ。まるで質問に答える時間を稼ぐかのように。そして大剣が届かない距離で火炎弾を飛ばしながらシュリを牽制した。
一方、魔族達は首をかしげながらもゲントロンの質問に答えた。
「あぁん? 魔法ならちゃんと発動したぜ。奴らはもう終わりだ」
「魔物化を確認したか?」
「は? いや、まだだったが」
その瞬間、ゲントロンが飛ばした2つの〈地獄の手〉が左右からシュリを襲った。シュリは2本の魔剣でそれを防がなければならなかった。
その間、ゲントロンは仲間達に再び話した。
「〈大魔の行進〉はそんなに進行が遅い魔法ではない。まともに発動したらその進行を確認できただろう。しかしお前らが変化を感じられなかったら、邪魔する者がいたという意味だ」
――ちっ、厄介な男だね本当に!
魔族達の空気が変わった。今までは少し緩んだ感じだったが、今は確実にシュリを倒すという目的意識が感じられた。
「早く始末して、魔法を邪魔する奴も見つけて殺すようにしよう」
「そうじゃないとな。だから死ね!」
ゲントロンとミッドカーが先頭に立って飛びかかってきた。2人とも手に火炎をまとったままシュリに突き出した。彼らはシュリが振り回した大剣を避けて再び退いたが、その瞬間剣の軌道の下に突っ込んできたジトラが魔剣を振り回した。
「ふん」
シュリは直剣でそれを防いだ。しかしその瞬間、残りの3人の魔族が3つの方向から攻撃してきた。シュリは再び大剣を振り回そうとしたが、最も早く突っ込んできたゲントロンが大剣の柄を体で防いだ。
「チェックメイトだ!」
ミッドカーと残りの魔族が魔法を撃った。
「アンタの想像の中だけでね」
でもシュリはジトラを力で押しのけて、大剣をしばらく手放した。そしてそのひじでゲントロンを攻撃した。そして素早く大剣を再び握り締めた後、ミッドカーと残りの魔族に向けて振り回した。
「うぉっ!?」
その2人が退くやいなや、ジトラに向かって大剣で一閃。ジトラは大剣の側面を殴って受け流した。だが直剣の一撃をまともに避けられず、肩を切られた。
しかし交差の瞬間、ジトラの魔剣がシュリの頬を浅く切った。
「結構強いのは認めるけど」
シュリは覆面がずり落ちていないことを確認した後、ぽろぽろと言った。
「あえて私のことを放っておいて他のことに気を使うのは許せないわよ」
「……確かに。こちらも集中しないと」
ゲントロンは魔力を引き上げ、シュリを睨んだ。
「まずあいつを確実に殺す。〈大魔の行進〉はその後に点検するようにしよう」
ここまで読んでくれてありがとうございます!
シュリが勝てるか気になる! とか、シュリが本気で戦うのを見たい! とか、とにかく面白い! とお考えでしたら!
一個だけでもいいから、☆とブックマークを加えてください! 力になります!




