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0.葬式

 「どうぞこっちですよ」

美恵子さんが僕にそう言った。僕は数日前1人の同級生を亡くした。今日はその葬式だ。

僕の通っている学校で出席したのは、僕と担任だけだ。他は誰もいない。


 寂しい葬式だった。こんなに寂しい葬式はこれまで世の中にあっただろうか……。僕が死ぬときもこういう感じなのだろうか。


 僕がいる部屋は普段朱莉が使っていた部屋だ。女子部屋というのもあってかきちんと整理整頓されていた。見習いたいくらいの綺麗さだった。


 「この度はご愁傷様でした」

僕は葬式の決まり文句を美恵子さんに言った。果たしてこのセリフは適切なのか。僕には分からなかった。朱莉の父である功さんがまるで猿のように泣いていた。動物園に来た気分だった。

「あの子は君と過ごせて幸せだったと思うよ」

功さんが泣きながら僕に話しかけてきた。


 僕は何も答えられなかった。果たして本当に幸せだったのか。僕のせいではないのだろうか。僕がいなければ違う未来が見えていたのではないか。僕はまだ答えが出せない。


 朱莉は死んだ。ただ,事故などではない。彼女は自殺したのだ。修学旅行中に電車に飛び込んだ。

あの瞬間は忘れられない。だが,自然と涙は出なかった。


 私は無言の間、朱莉と初めて会った時のことを思い出した。


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