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地球決戦 ースペースマン5-  作者: 本山なお
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シェプーラの星にて②

 シェプーラ星は地球からの距離363光年。オリオン腕内にあるが、地球連邦にも銀河連合にも属していない。かつて人類はこの星へも移住(植民地化)を計画したが、この星の名前でもあるシェプーラ(馬型の高等生物)の妨害に遭い断念していた。彼らシェプーラは他星系生物との接触を極端に嫌う。

 <スペースインパルス>のメインブリッジのパネルには大銀河帝国の大艦隊が映っている。シェプーラ星の衛星にはすでに基地らしき建物も建造されている。

「どうします?」ロイが尋ねる。

「シェプーラ星に侵攻しようとしているのは明白ですが・・」クリスが意見。 

「・・相手をしていては地球到着が遅れる」とサライ。

 シャーロットはプログラミング席で黙って話を聞いている。索敵情報班の緑の一本ラインのスペーススーツを着ている。<スペースマン>のメンバーでメインブリッジ勤務になったのは彼女だけだ。

 啓作は医療班、マーチンは機関班、グレイは戦闘班、ピンニョは通信班、ボッケンは天文班と白兵戦闘要員を希望。ヨキと美理と麗子は艦内学校に転入かつそれぞれ超能力開発班、索敵情報班、医療班を希望し許可された。明は航行班を希望したが、集団催眠の影響が危惧され保留になっている。

 流艦長は無言で腕を組みパネルを睨む。

 ボッケンははるか彼方に故郷の惑星ほしを見つける。

「・・・」


 明は医務室で椅子に座りDr.Qの診察を受けていた。

 まだ<フロンティア号>で元々着ていたスペーススーツを着用。航行班の服はまだ貰えていない。ちなみに明のスーツの赤はインパルスでは戦闘班のイメージカラーだ。

 明の四肢にはリングがはめられている。いざという時の拘束具だ。ちょっと不機嫌なのは調査に同行できなかったからと緊張しているから。

Qが語る。「心配するな。催眠には催眠だ。以前にもデコラスの配下となった地球連邦軍人を治したことがある」

 麗子が「催眠術ということですね」

「何で彼女がいるんだ?」明が尋ねる。

「彼女は医療班希望で見学だ。じゃ、早速始めようか」

 Vサインをする麗子を尻目に明はQに頭を下げ、

「よろしくお願いします。でも俺ナイーブだからかからないかもしれませんよ」

 Qは明の額に手を当てる。

 機械でなく人?そう明が思った途端、コテン。

 あっさり術にかかる。やはり単純だから? 麗子が目をぱちぱち。

 Qは明に優しく語りかける。「何が見える?」

「・・宇宙・・に浮かぶ地球」

「君の故郷だな。誰か知り合いがいるのか?」

「・・麻美子」

 麻美子は500年前の明の幼なじみであり想い人。美理と瓜二つの容姿をしている。

 いたたまれなくなった麗子はその場を立ち去ろうとする。

「やめろ!」明が叫ぶ。

 驚いて麗子が振り向く。

 明は目を閉じたまましゃべり続ける。

「地球をお前たち宇宙人の好き勝手にさせてたまるか」

「何を言・・」

 そう言いかけた麗子をQは人差し指を立てて静かにと合図する。

「奴らが地球に来る前に倒すんだ・・邪魔をするな!」

 Qは拘束具のスイッチを入れる。手錠足枷となる。

「なるほど、そうやって愛星心を刺激させて人々を操っているのか。(前の症例と違ってより)厄介だな。今まで強い意志で抑えていたようだ。このまま催眠を解くのは危険だ。まずは落ち着かせよう。麗子君、美理君を呼んできてくれ」

「え?」

「彼女の協力が要る」

「あ、だめです。美理はレーダー操作の研修に行っていて」

「彼をよく知っている人物に話をしてもらって落ち着かせるんだ。君に出来るか?」

「いえ、私じゃ無理です。明さんのことよく知らないです」

「啓作もいないし・・誰か他の・・あのお馬さんは?」


 凍りついたナカトミ第二原始惑星。

 観測施設の近くに二機の<スペースコンドル>が着陸。アランと啓作とロミが機体から降りて氷の上を歩く。リュウは操縦席で待機。上空を護衛の三号機が旋回する。

 無人の施設は啓作たちが見た時よりも損傷が激しい。反物質爆発の影響もあるのだろう。

 三人は中へ。内部は外観ほど破壊されておらず、瓦礫を避けて三人はコンピューター端末にたどり着く。

「よかった。壊れていない。データ収集できるぞ」

 アランは持参した小型の機械をコンピューターに繋ぐ。

「啓作くん。あの資料読ませてもらった。実に興味深い」

 啓作は黙って聞いている。

「パンゲア星の言葉でトスーゴは神・・」

「え?」ロミが驚く。

 データ収集作業は瞬く間に終了。

「!」外のリュウが異変を察知する。

 上空で護衛機が被弾。

「ロミ!敵だ!すぐ帰還しろ!」

 リュウは一号機を緊急発進させる。

 被弾した三号機のパイロットは気を失ったが、機体は自動操縦で不時着する。

 通信を受けたロミはアランに「戻ります」

 テレポート。ロミはエスパーだ。それもA級。ヨキと違い時間制限はない。

 三人は二号機の目の前に。だが機体には二人しか乗れない。

 啓作は三号機を指さし、「俺をあそこへ送ってくれ」

 ロミはうなずく。

 次の瞬間、啓作は三号機の傍にいた。

 啓作はコクピットによじ登り、キャノピーを開けパイロットを診る。

 生存を確認。意識はないが、外傷なし。モニターを見る限りバイタルは安定している。

 この機体も複座だが乗っているのは一人だけだ。啓作は後席に座る。機体のチェックをする。損傷軽微、ナノマシンによる自動修復が始まっている。行ける。

 上空ではリュウが敵と交戦していた。

 敵はトスーゴの小型戦闘艇6機。大きさは<スペースコンドル>より一回り大きい。翼の無いトンボの様な形状だ。過去のデータで無人機と判明している。

 リュウが敵の背後に付く。ビームバルカン発射。

 光の弾が敵機に突き刺さる。爆発。

 すでに2機を撃墜。パワーは負けるが小回りはこちらが上だ。

 3機目を狙う。警報。後方敵機。リュウは操縦桿を倒す。

 機体は急降下。敵のビームは空を切る。

 敵味方入り乱れているため自動追尾は使えない。対してこちらは単機、周りは敵だけ。遠慮なく自動追尾ホーミングビームを使える。

 アランを後ろに乗せてロミ機が離陸する。一目散に上昇。ワープして行く。

 リュウは不時着した三号機をチラと見る。ちょうど飛び立つところだ。

「マサ!無事か?」

 牽制のビームバルカン発射。敵機が避けた所へミサイル。命中。爆発。

 警告。続けてブラスターが来る。

 攻撃をかわしたリュウは敵の母艦の接近に気付く。

「タイプ・イギャロンか」

トスーゴの戦艦クラス。戦闘機だけで交戦した記録はない。

「マサ!時間を稼ぐ、先にワープで逃げろ!」

 リュウは機体を反転させミサイルを発射!

 3発のミサイルが敵戦艦に命中。だがかすり傷すら負わせられない。

 反撃のブラスターをリュウが避けている間に、三号機はワープに入る。

「!」

トスーゴ艦が三号機を追ってワープする。

「ちいっ!」リュウ機もワープへ。


 麗子に医務室に連れて来られたボッケンは困惑する。

 明は椅子に拘束されたまま、暴れてもがいている。

「兄きに何をした!」

「デコラスの深層催眠が表面化した。今催眠を解くのは危険だ」

 ボッケンは麗子を見る。彼女は無言でうなずく。

「わかった。え~と・・何をすれば・・」

 Qが「隣に座って、話しかけてくれ。落ち着いたら再暗示をかける」

「わかりました」ボッケンは腰を下ろす。

 明と目が合うが、視点が合っていない。

「え~と・・何を話そうか・・そうだ。この船、シェプーラ星の近くにいるみたい」

 明は黙ったまま。ボッケンは話を続ける。

「兄き、覚えてる?あれは・2年近く前・・」

 想いは故郷ふるさとへ・・・


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