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地球決戦 ースペースマン5-  作者: 本山なお
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スペースインパルス⑤

 艦長室はメインブリッジに隣接する。

 テーブルの上にはフルコース料理がずらりと並んでいる。座っているのは流家の三人。

「シェフが頑張ってくれた。さあ、いただこう」

 三人そろって手を合わせ、「いただきます」礼儀正しい。

 美理はナイフとフォークを手に取る。気付くと、あとのふたりは食べようとしていない。

 沈黙の後、啓作が話し出す。

「宇宙船事故は口実で、この船の建造のために行方不明になっていたのか?」

「そうだ。この艦の建造は極秘だった。事故はカモフラージュだ」

「俺たちを見捨てて」

「・・そうだ」

「俺はともかく美理はまだ小さかった!」

 美理はフォークを肉団子に刺し口に入れる。

「おいし~い!」

 ふたりは美理を見る。

「早く食べないと冷めちゃうわよ」もぐもぐ。

 無言で三人は食事をする。

「何年ぶりかしらね。三人で食事するの」

 啓作は隣の美理を見る。 

「!」 

 美理の目から涙が溢れ頬を伝っていく。

「父さん!」

 美理は立ち上がり、父の胸に飛び込む。

「・・生きていてくれてよかった」

 流啓三は愛おしい娘を抱きしめる。

 そしてつぶやく。

「すまん」

 啓作は何も言えず、ふたりを見つめる。


 翌朝、マーチンは退院した。

「ほえ~こりゃすげえわ。こんな船見たことない。銀河連合の各文明の結晶だ」

 ショーンに艦内を案内されたマーチンは終始感動、興奮しっぱなし。

 マーチンを加えた明たちはメインブリッジに集められる。

 メインブリッジ内をまじまじと見るのは初めてかもしれない。広さはテニスコート一面ほど。一階席の最前列だ。

 一列目中央がサライの主操縦席、右隣がロイの主戦闘席、その右が副戦闘席(女性)。

 サライの左隣は第一副操縦席(男性)。その左がクリスのメインレーダー席。目が合うと微笑んでくれる。

 二列目。右から通信主任席、サブレーダー席、アランの副長席、ニコライの機関制御席、コンピューター端末席(席が欲しいと<那由他>が言ったらしい)通常無人だが今はショーンが何か作業をしている。

 三列目中央に艦長席。少し高い位置にあり、ブリッジ内を見渡せる。

 艦長席のすぐ左がワーププログラミング席(今は空席)。他に操縦補佐席?や通信副主任席?他にもう1席ある。

 二階は劇場二階席のように左右に1席×三列ずつと艦長席後方に2席。つまり明たちの頭上は開けている。何の席か後で調べよう。

 全席艦首方向を向いている(椅子は回転する)。

「これで全員揃ったか」

 流艦長は言葉を続ける。

「いろいろ考えたが・・君達には真実を知ってもらおうと思う。サライ、ワープ準備!」

『こちら機関室。メインエンジン異常なし』ニコライの声。

「ワーププログラム完了しています」

「ワープ!」サライが叫ぶ。

 力強いエンジンの咆哮。

 軽いショックと共に巨大な宇宙船は5000光年を一気に越える。

 ワープアウト。

 暗い。どこかの星系のようだが、近くに恒星は無い。

「ここは?」明が尋ねる。

「ワープ終了。現在位置ベテルギウス星系第6惑星軌道上」クリスが報告する。

「ベテルギウス?」

 明たちは驚きを隠せない。ベテルギウスはオリオン座にある赤色巨星。地球からの距離は約640光年。ここは特別な宙域エリアだ。

「超新星爆発の危険があり特別侵入禁止宙域のはずだ」

「その通り」流艦長が説明する。「ワープ航法発明後すぐの宇宙暦202年、ベテルギウスはいつ超新星爆発を起こしてもおかしくない状態だったため、地球連邦が侵入禁止宙域に指定した。それから約300年、ここは今も侵入禁止のままだ。だが現実は・・」

 暗い宇宙空間が広がる。巨大な赤色巨星の姿はない。

「超新星爆発の跡は見られない」

「ベテルギウスが消えた?」

 監視カメラがあったがいつの間にか壊れていた。地球では今も赤いベテルギウスが輝いて見えるし、8光年先のステーションからもそれは見る事ができる。つまり星が消えたのは8年以内だ。

 警報が鳴る。

「レーダーに反応。識別レッド、トスーゴ艦隊です。前方100万キロ。数は7隻。タイプA-1イギャロン級6隻とデータの無い新型1隻。接近中」クリスがデータを読み上げる。

「トスーゴ!(この前の奴か!)」明が身構える。

 <フロンティア号>だけでなく大銀河帝国(地球連邦)の攻撃も通用しなかった艦だ。

「総員戦闘配備!迎撃戦用意!主砲発射準備!」流艦長が前令する。 

 前方はるかに敵艦隊が見える。6隻は惑星状星雲で大銀河帝国艦隊を敗走させた奴と同型だ。1隻はさらに大きい。

「あれが6隻・・」明はメインパネルを見つめる。

「ショーン」

 流艦長に名前を呼ばれたショーンはうなずきながらマイクに呼びかける。

「本艦は銀河連合所属特務艦<スペースインパルス>である。貴船の所属と目的を知らせよ」

 返答はない。かわりにブラスターが来る。それは空を切る。

「針路このまま。最大戦速!」 

「了解。最大戦速!」流の命令にサライが復唱する。

 その声は機関室にも流れている。ニコライがレバーを操作する。

 第一砲塔のリックはターゲットスコープに敵艦を捉える。

「敵艦発砲!」 

 前方から数本の光線が迫る。

「主砲発射!」流艦長の命令。

「発射!」ロイが復唱、スイッチを押す。 

 前を狙える8基の主砲が一斉に吠える。

 光が交差する。 

 敵の光線はインパルスのバリアーに弾かれる。幾つかは被弾するが、損傷は無い。

 主砲弾は敵艦に命中。爆発。4隻を撃沈。

 残り3隻はインパルスの左右を通過。

「両舷ホーミングアロー!」

 側舷より幾つもの光の矢が放たれる。名称が違うだけで<フロンティア号>のホーミングレーザーと同じものだ。もちろん威力は段違いだ。矢は湾曲し、敵艦を追尾、命中する。 

 爆発。

 すれ違いざまにイギャロン級計6隻を撃破。圧勝だ。

 マーチンが思わず「すげえ」

 残った大型艦にもホーミングアローが命中しているはずだが損傷は見られない。そのまま速度を上げて逃走を図る。

「急速回頭!」

 サライが操縦桿を倒す。軽いGがかかる。インパルスはUターンし敵艦を追う。

「機関全速!」

「逃がすかあ!」

 インパルスが追いつく。両艦は並走。ほぼ同じ全長だ。

「狙える全砲門を右舷へ向けろ!」

 主砲が旋回。リックら砲手が狙いを定める。

「敵艦発砲」

 サライは姿勢制御ノズルを噴射して下へ避ける。主砲自動追尾中。

「撃て!」

 10基30門の主砲が一斉に発射される。

 光の束が敵艦に次々と突き刺さる。

 大爆発。

「無人偵察機発艦。敵艦の調査に向かえ」

 流艦長は立ち上がり語り出す。

「ここ500年程の間に次々と銀河系の恒星が死んでいる。爆発ではなく星が消えているのだ。隣のアンドロメダ銀河でも同じような事が起きているようだ。移動性ブラックホールあるいは星の病気というのが有力な説だが、真相は分かっていない。ダークマター拡大説もあるが、何者かの仕業ではないとは言えない」 

「あ・・」美理はあの星系のことを思い出す。

 もちろんそれを思い浮かべたのは彼女だけではない。

「トスーゴ?」明が尋ねる。

「それはまだ分かっていません」アランが即答。「ですが先程のように恒星消滅ポイントで彼らと遭遇する確率は高いです」

 流は明たちに語りかける。

「本艦は恒星消滅の調査と未知の敵と戦うために造られた。わかるか?今は地球人同士で争っている時ではない」


<スペースインパルス>乗艦記念「こんな宇宙戦艦はイヤだ」

・男の乗組員が全員イケメン

・しかも全員ヒロインに気がある

・巨大ロボットに変形・合体する

・艦内通話が糸電話

・艦内通話がケータイ、メールで命令・復唱・報告

・艦長が認知症

・艦長がサド

・副長がマゾ

・手がハザミの宇宙人が乗っている

・乗組員が全員美少女

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