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地球決戦 ースペースマン5-  作者: 本山なお
32/33

別離 そして陽はまた昇る⑥

 あれから5日経っていた。明は丸3日間意識を失っていた。

 啓作の遺体は見つからず服の一部が発見されただけだった。

 服は棺に入れられ、ミクロ化シティの墓地に埋葬された。美理が明の許に来たのは葬儀のすぐ後だったのだ。

 歩けるようになった明は墓に花を手向ける。

「・・・」

 流啓三とシャーロットに謝った明は逆に励まされた。複雑な心境だ。お前のせいだと言われた方が気が楽だ。

 <スペースインパルス>は既に地球を離れ、太陽系内を航行していた。大銀河帝国の残党狩りと各星の被害状況の調査である。

 地球での活躍が認められ、明は航行班のナンバー7に任命された。副操縦士としてメインブリッジやサブブリッジに勤務することになる。グレイは第9砲塔の主任に、マーチンは機関室副主任に、ボッケンは陸戦隊副長を断り(陸戦隊には所属している)天文班副主任に、ピンニョは特注籠(専用席)を作ってもらいメインブリッジ通信補佐になった。

 明はメインブリッジの第一副操縦席に座る。

 右隣がサライの主操縦席、その右がロイの主戦闘席だ。

 艦長席のすぐ左がシャーロットのワーププログラミング席(今は空席)。その横にピンニョの専用席(籠)も設置されている。

 サライが「どうだ?動かしてみるか?」

「え?いいんですか?」

「艦長」サライが訊く。

「構わん」

「自動操縦オフ。操縦を第一副操縦席に」

 明が「受け取りました」操縦桿を握る。シミュレーションは何度かした。

 <フロンティア号>の一本スチィックタイプと違い両手で持つタイプだ。

「前方針路クリア」クリスが助ける。

 ニコライがウインクしながら「機関全速!」

『了解。機関全速』機関室からの復唱。マーチンの声だ。

 軽いGがかかる。船体は急加速する。

「わあ」

 操縦桿を倒す。

 巨大な宇宙戦艦は滑らかにロールしつつコースを変える。

「前方!ハレー彗星です」

 太陽から遠ざかりつつあるため、前より”尾”は小さい。

 明は操縦桿を引く。

 彗星を追い越す。

 明はゆっくりと操縦桿を傾ける。

 インパルスは彗星の周りを旋回する。

「すごい。パワーがあるのに扱いやすい」 

「もういいいだろう」サライが操縦を自分に戻す。

 明は興奮した声で「あ、ありがとうございました!」礼。

 ドアが開き、アランがメインブリッジに現れる。

「艦長。弓月明のESP解析が終わりました」

 ESP波でそのエスパーの潜在能力がある程度解るらしい。

「どうだった?」流艦長が尋ねる。

「サイコキネシスはAA以上です。テレパシーは標準並み。テレポートの素養もあるようです。予知、透視、読心は皆無。かなり偏った・特殊なエスパーのようです」

「・・・(透視能力ないのか)」明はがっかり。

「戦力にはなります。ですがAAだとロミで手に負えるかどうか」

「そうか・・修行に出すか」流がぽつり。

「(えー 修行?)」明がイメージしたのは崖から岩を落とす特訓。

 アランは明に近づき、ホルスターに入った銃を差し出す。

「この銃を渡しておこう」

「?」 

「通称エスパーガン。ESPを増幅してエネルギー弾に変換して発射する、エスパー専用の銃だ。威力は持ち主の能力次第だ。戦車砲並みの破壊力パワーも出せるし、加減して出力を落とせばパラライザーにも出来る」

「へえ」

 明は銃を手に取る。今まで使っていた銃の最新モデルがベースになっているようだ。無線アンカーも付いている。再びホルスターにしまう。

 ショーンが「艦長。分析完了しました、転映します」 

 メインパネルに銀河系が映る。

「青は過去1000年間に大型隕石の落下があった惑星です」

「かなり多いな」

 明は黙って見つめる。

「続けて、赤は恒星消滅の位置です」 

 ザワつく。 幾つかのポイントが紫に変わっている。

「見事に一致したな」 

 青のポイントの方が多い。倍以上だ。

 流は立ち上がる。

「本艦は再び銀河調査の旅に出る。艦を降りるのも残るのも自由だ」



 地球。

 <スペースインパルス>は首都<ラ・ムー>の宇宙港に停泊していた。

 明は流艦長に呼び出されインパルスの艦首上甲板にいる。

 夜明け前。海からの風が心地よい。

 水平線が明るくなる。

 流艦長は静かに語り出す。

「綺麗だな」

「はい」

「何億年も前からこんな光景は繰り返されてきた。星の一生に比べたら人の一生などほんの一瞬の瞬きに過ぎない。夕日が沈み、翌朝日が昇るのは当たり前のことだった」

 朝陽が昇る。

「だが我々の行動がなければあそこに太陽はなかった。胸をはって言える。我々は太陽を救った。科学の力だけではない。お前の力がなければこの星は凍り付いていた」

「啓作の犠牲もです・ね」

「そうだ」

 陽の光がふたりを照らす。流艦長は右手を差し出す。

「艦に残ってくれたことに感謝する。これからもよろしく頼む」

「もう許してくださいとは言いません。俺は啓作の分までやれることをやります」

 ふたりは握手する。


 麗子は船を降りる。他にも数名が下船する。女性と子供が多い。

 体調のすぐれないシャーロット以外のスペースマンメンバーが麗子を見送る。

「元気でね」 

「美理、ごめん・・大変な時に」 

「いいのよ。ご両親が無事でよかった」

「美理さえよければ・・」 

 美理は首を横に振る。もう家族は父しかいない。自分はインパルスに残る。決心は変わらない。 

「卒業したら、必ず戻るわ」

 麗子は明を見る。

「美理の事、よろしくお願いします。ご自身辛いでしょうけど、力になってあげてください」 

 明はうなずきながら、「わかった」

 麗子は手に乗ったピンニョに軽く頬ずりをする。

「さよなら」

 ピンニョは飛んでボッケンの頭に。

 麗子はグレイと目が合う。

 グレイは黙って手を振る。麗子も。

「さよなら(わたしの初恋)」

 タラップが上がる。明たちは見送るため下部展望室へ移る。

 朝日を浴びながら、ゆっくりと<スペースインパルス>が上昇する。

 地上の麗子が手を振る。

 明たちも手を振る。ヨキはぽろぽろ涙を流す。

 麗子が泣きながら何かを叫んでいるが聞こえない。

 美理は手を握られて驚く。

 握ったのは明。頬を赤らめながら美理は握り返す。

 明は外を向いたまま、一言も発しない。指を絡める。さらに力が入る。

 啓作と約束した。

「約束しろ。たとえ世界中を敵にまわしても美理(あの子)を守ると。

お前は過去に捕らわれ過ぎだ。お前はいま生きているんだ。それを忘れるな。

・・がんばれよ」

 俺は君を守る。それが明の決意だ。

 インパルスは見守る麗子たちの上空を飛び去って行く。


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