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地球決戦 ースペースマン5-  作者: 本山なお
30/33

別離 そして陽はまた昇る④

 明の噛んだ唇と握りしめた手から血が落ちる。

 明は顔を上げる。

 あふれる涙を拭きもせずデコラスを睨みつける。髪が逆立つ。

「うおおおおおおおおおおお・・・・・・・   」

 声が出た。

 叫ぶ。心の底から叫ぶ。

 ヨキはうっすらと目を開ける。

 信じられない光景が飛び込んでくる。

 明の右手に野球ボール大の光る球が現れる。ESPエネルギーの塊だ。

 明はそれを握り潰す。拳が輝き出す。

「兄き・・」

 ボッケンは明を見つめることしかできない。

「明?」

 それは墜落し逆さまになった<フロンティア号>のマーチンも同じだ。

「何が・?」

 リュウも何が起きたのか分からない。

「うおおおおおおおお――――・・・・・・・  」

 叫びながら明は光の球を放つ。

 怒り。憎しみ。それ以上の哀しみ。そのすべてをデコラスにぶつける!

 デコラスは微笑む。

 それは不敵な笑いではなく安堵の笑み。

 光が命中する。デコラスは瞬時に蒸発する。

 球は後方の“植物“の目の中へ吸い込まれて行く。

 1000mもの巨体から光が洩れる。

 それは悲鳴のような音を発しながら、新星のように白く輝く。

 炎が上がる。

 丸い本体がドロドロに溶けていく。

 数千キロ離れた地球各地で”根”が燃えて火災が発生する。

 ”巨大植物”は燃え尽き消滅していく。

 明は巨大なクレーターの前で立ち尽くす。


 美理は振り向く。

「明くん?(何があったの?何が悲しいの?)」

「地球で・・凄まじいESP反応です」  

 <スペースインパルス>は金星軌道を通過中。クリスの報告どおり地球の旧北極海に巨大な光が見える。

「こんなの・見たことない」

「今は後回しだ」

 “暗黒星”は目標を見失ったかのように、速度が遅くなる。やがて迷走を始める。

「!?」

「何か解らないがこのチャンスを逃すな!」

 インパルスは迷走する”暗黒星”を追い越す。

「エネルギー充填80%」

「予定変更。可能な限り充填続けろ」

 数分後“暗黒星”は再び太陽を目指し動き出す。

「距離をとれ!接近しすぎるな」

「水星軌道を通過」

「反転180度」

 インパルス回頭。太陽の前に立ち塞がる。

 “暗黒星“はアメーバのように変形し触手を伸ばそうとする。

「生き物なの?」誰が言ったのか分からない。

 誰も答えない。いや答えられない。

 触手と言うより正に巨大な”手”を広げた様な形に変わる。

「こんなのナカトミ星の時はなかった」

「エネルギー充填完了。出力100%。オールグリーン」

「対ESPシールド異常なし」

「角度修正」制御ノズル噴射。

「距離30万キロ」

「第一から第五までの安全装置解除」

「安全装置解除」

 両翼下の発射孔が開く。光が洩れる。

「目標接近、距離10万キロ」巨大な”手”が迫る。

「敵を牽制する!反重力ミサイル発射!」

 インパルス艦首より数発のミサイルが発射される。

 “暗黒星”周囲で爆発。

 反重力場が発生。“暗黒星”の動きが止まる。

「軸線に乗った」

「射線軸線上に地球および他天体なし。艦影なし」

「!」

 ”暗黒星”に無数の”目”が開く。中央のは特に巨大だ。

「化け物め」

「あの目を狙う。総員ショックに備えろ!・・スーパーノヴァボンバー発射10秒前!!」

「最終安全装置解除」

「最終・安全装置セーフティ解除」

「5・4・3・2・1・発射!!」

 流艦長が発射トリガーを引く。

 ピシュィー・・ン

 <スペースインパルス>の両翼下発射孔が輝く。

 どっぉゔぉ―――んんん―…

 超新星爆発に匹敵するエネルギーの塊が放たれる。

 ふたつのまばゆい光が宇宙空間を進む。

 ”暗黒星”へ

 ドッツ 命中!

 光は巨大な目の中に吸い込まれて行く

 目が消える。文字通りの暗黒。その闇から光が洩れる。

 ”暗黒星”の形が極端に変形を繰り返す。苦しんでいるかのように

 闇は光に溶けていく・・・・

 断末魔。

 何も聞こえないが、叫び声のようなものを感じる。

 そして”暗黒星“は消え去った。


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