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地球決戦 ースペースマン5-  作者: 本山なお
29/33

別離 そして陽はまた昇る③

 明は走る。

 ボッケンもヨキを背に乗せ、墜落した<フロンティア号>へ向け走る。

 彼らの背中をデコラスは微笑みながら手を伸ばし狙う。

「!」危険を察知しデコラスはテレポートで逃れる。

 その場所へビームバルカンが命中する。

 上空を数機の<スペースコンドル>が飛び去る。急旋回。

『明!無事か!?』リュウの声。マーチンの連絡で駆けつけた。

「そいつより大王を!恐怖の大王をたたけ!」

 明は走りながら無線機に叫ぶ。

「“恐怖の大王”?あれが?」困惑するリュウだが「了解」

 <スペースコンドル>は編隊を組んで上昇、続けて急降下。

「でかい・・全機アタック!!」

 真上から一斉にミサイル・ビームを発射!

 巨大植物の赤い目が輝く。

 ミサイルは空中で爆発。ビームは跳ね返される。

 衝撃波で<スペースコンドル>は吹き飛ばされる。

 リュウは機体を立て直したが、不時着するのがやっとだった。残りの機は地面に叩きつけられたり、空中で飛散、パイロットの脱出を余儀なくされる。

「あ・・」惨状を目の当たりにして明が立ち止まる。

 その明をデコラスが背後から狙う。

「死ね!」

 手のひらから光を放つ。エナジーボール・高エネルギーの塊だ。

 振り返る明。

 ボッケンがターンして向かう。ヨキは振り落とされ地面に落ちる。

 光が迫る。

 フラッシュバック

 破壊される宇宙船 “恐怖の大王”の赤い目 凍っていくキャノピー 青い地球

「死なないで。必ず帰って来て」麻美子との約束

「(走馬灯なのか? 俺は・死ぬのか?)」

 暴漢に襲われ息絶える両親

「明・・生きなさい」母の最後の言葉

 桜の花びらが舞い散る中に立つ麻美子 

「麻美子!」

 振り向く 麻美子じゃない・・・美理!

 迫る光。

 割って入る救命艇。

 そのコクピットに 啓作!!!

「!!!」 

 ドガアアアアアアーーーーンンンン

 救命艇は盾となり爆発・飛散する。

「・・け・い・・・く?」声にならない。 


「?」

 はっとなるシャーロット。

 美理も何か感じるが、それが何か分からない。

 流艦長が命じる。

「急速反転!奴を追え!」 

「スーパーノヴァボンバー、エネルギー充填再開!」

 インパルスは太陽へ向かう“暗黒星”を追う。

「!」

「目標、信じられない加速です。追いつけません!」

「ワープ準備!」

「サライ航行長待ってください。スーパーノヴァボンバーの準備中はワープできません」

「しかしそれでは・・」

「計算しましたが、ワープで先回りしてもエネルギー充填が間に合いません」アランはひとり冷静だ。

「奴の後方から攻撃する」

「艦長。それでは太陽に当たる確率が高まります」

「とにかく奴を追え!エネルギー80%で発射する」

「メイン出力20上げろ!補助エンジン全開!」

『流艦長。時間をかせぎます』

 並走していた地球連邦艦隊がワープに入る。

 ”暗黒星”の前にワープアウトする。

「待て!」

 流艦長の制止を聞かず艦隊は攻撃を開始する。

 やはり効果はない。

 やがて艦隊は同士討ちを始める。幻覚を見さされているのだ。

 全滅はまぬがれたものの、その残骸をすり抜けて”暗黒星”は目標に向かう。


ベッドで目を開けた明に白衣を着た若い男が近づき右手を差し出す。    

「担当医の流啓作だ。よろしく」

 (何だ?これは?)

男の手が傷ついた黄色い小鳥をそっと包む。

ピンニョがか細い声で「・ボクを・殺す?」

「お前に罪はない。罪があるのはお前を造った者だ」

「俺たちと来るかい?外に出たかったんだろ?」

 (走馬灯の続きなのか?)

宇宙船ドック。照明が点く。

そこにあったのはデルタ翼の銀色の宇宙船。

「これは?」

「親父の遺産だ。入手ルートは秘密だが、プロの整備済みだ。こいつで自由に宇宙へ行こう」

「はあ・まあ俺はレーサーだから扱えないことはないが」

「明、お前が船の名を決めろ」

「・・フロンティア・・<フロンティア号>にしよう!」

 (俺の記憶?)

「啓作、妹さんがいるのか。紹介して♡」

「絶対にだめだ」

 (・・・・・)

幼い美理と手をつないで暗い夜道を歩く。

「あたし宇宙に行く!宇宙に行ってとうさんを探す!」

 (俺の記憶じゃない。)

すやすやと眠る赤ん坊。

そのほっぺを指でぷにぷにする。

「こら。せっかく寝たのに起こさないの」

美理?違う。美理のおかあさんだろうか。長い髪以外ほんとに似ている。

ぷにぷにしていたのは啓作少年。

奥で笑っているのは流艦長か。

 (啓作の・・記憶?)

パーテイ会場。

グランドピアノが美しい曲を奏でる。弾いているのはドレス姿の女性。

彼女に近づく。

目が合う。微笑むシャーロット。


「・・・・・・―--------」 

 明は声にならない声で叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。

 デコラスは再び不敵な笑みを浮かべ手をかざす。

 光が明を襲う。 

 明の後方で爆発。

「何?」 

 再び手から光。 

 当たらない。 

「ば、馬鹿な。」 

 巨大植物の目が光る。<フロンティア号>すら跳ね返したエネルギー波が襲う。

 それすら明には届かない。

「バリアー?・・いやサイコキネシスか?」

 デコラスから笑みが消える。

「・・・・・・・・・」

 明はうつむいたまま一歩また一歩とデコラスに近づく。

「目覚めたのか!?」デコラスの口角が上がる。

 

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