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地球決戦 ースペースマン5-  作者: 本山なお
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決戦⑥

 <スペースインパルス>は地球連邦本部上空に静止している。 

 流啓三艦長がヘリポートに降り立つ。

 無言で敬礼をする。黙祷。そして階下の司令部へ。

 マッケンジー主席と再会する。

「流、待っていたよ。必ず来てくれると信じていた」

 流啓三はやつれた友人に肩を貸す。

「銀河連合の総攻撃に間に合ってよかった。・・これから大変だぞ」

「そうだな。気が重い・よ」

「腐っていた地球連邦を蘇らせたお前だ。きっとうまくいく」

「途中で抜けたお前に言われたくない」

「ふ・・そうだな」

 啓作が救護として来る。マッケンジーを診る。

 立ち去ろうとする流啓三に、 

「親父。後で美理の事で話があるんだ」

「わかった。・・ロイ!デコラスは見つかったのか?」

「いえ、どこかへテレポートで逃げたようです」

 建物の対ESPシールドが切られていたのはそのためだ。


 地下のハイパーコンピューター室にはアランと数名の技術者が訪れていた。

「<ガイア>は無傷なのか?」

 装甲兵が答える。「<ガイア>に絡みついた”根”を銃で焼き切ったようです。我々が到着した時にはすでに正常に戻っていました」

「また奴か・・しかし何なんだ、これは?」

 ”根”は重金属の壁を突き破り部屋に侵入していた。

 アランがつぶやく。

「これが”根”としたら、”本体”はどこだ?」


 <フロンティア号>はインパルスの上甲板に着艦していた。

 明とボッケンもコクピットに戻り計器のチェック中。

 ピンニョは傷の手当て(かすり傷だが念のため)でインパルスへ。

「よ」入れ替わりにマーチンが乗船。

「大活躍だったな。整備に来てやったぞ」

 ヨキが「いまさら・・」

 マーチンは補修作業に入る。直撃はないが、船体には細かい傷が無数にある。それらはもう自己修復が始まっている。放っておいて大丈夫だろう。まずはエンジンのチェックだ。

「OK。エンジンは問題ない」

 次はプロトン砲だ。

「うわ。無茶しすぎだ。こりゃあと一二発撃ったらぶっ壊れるぞ」

《弓月明。》

「ヨキ。いま呼んだか?」

「うんにゃ」

《弓月明。私はここだ。》

「!」明の脳裏に映像が浮かぶ。

 白い霧。フードを被った男がひとり霧の中に立っている。数字が浮かぶ。緯度と経度だ。

「何だ?テレパシーか?・・この座標は・・!」

 明はしばらく考えていたが、「すまんマーチン、作業中断だ。行かないと・・」

「行く?どこへ?」

「奴が呼んでいる」明は主操縦席へ。「発進する!」

 確証がないため目的地のみインパルスに連絡する。

 ドギャァーーーン

 <フロンティア号>は垂直上昇する。船首を北に向ける。 

 気付いた啓作が空を見上げる。

「明?どこへ行く気だ?」


 旧北極。

 昔の日本とほぼ同じ緯度にあるため今では温帯に当たる。

 デコラスは旧北極海のとある島にいた。旧北極点から数キロ離れている。

 ミラージュ島。約300年前に隆起してできたこの島は年中濃い霧に覆われている。中央に1000m級の山がそびえる。

 明とヨキは以前地球に来た時、何も気づかずにこの上空を飛行していた。

 そして今<フロンティア号>は低空飛行で島の上空を旋回する。

 霧の切れ目にフードを被った男が一人立っている。

「デコラス!」

 明はデコラスから約500m離れた地点に<フロンティア号>を着陸させる。

 メインパネルに映るデコラス。次第に霧がその姿を隠す。

「何やってんだ?あいつ・・しかし明、お前よくこの場所がわかったな」

 明は答えない。答えようがない。

「どうする?プロトン砲撃つか?」

「相手は丸腰だ」明は銃のエネルギーを確認し「外に出る。ヨキ来てくれ」 

「まかせといて」

「ボッケンも。もし俺が奴に操られたら遠慮せず斬ってくれ」

 明は先行催眠の影響を心配している。

「わかった」

「みねうちだぞ」

「そっか」本気で斬るつもりだった?

「マーチン、もう一度インパルスに連絡を」

 マーチンは<スペースインパルス>に連絡するが、通じない。その頃インパルスはそれどころではない事態に直面していた。

 霧の中、明とヨキとボッケンは船外に出てデコラスに近づく。

「霧が濃くなる」

 足元は緑の草原。芝生に見えるが、ヨキは見たことのない”外来種”だと言う。

 明は銃を構える。ボッケンも刀を咥える。

 デコラスは無言で微笑んでいる。その背後には巨大な山がそびえる。

 不意に霧が晴れる。霧と共にカモフラージュが解かれる。

「!!」

 山じゃない・・”植物”だ。

 それはあの“恐怖の大王”そのものだった。


 マッケンジーと別れた流艦長は<スペースインパルス>のメインブリッジに戻る。

 美理と麗子が食事を運んで来て配り、そのままシャーロットと会話中。

 ピンニョを肩に乗せ美理は外を見る。

「地球か・・」美理が来るのは初めてだ。

 明の故郷。500年前のだけど。

「!」

 クリスが驚く。

「艦長!レーダーに反応が!・・これは・・うそでしょ?・・転映します」

「!!!」

 メインパネルに映るのは暗黒の球体。

 ナカトミ星系で原始恒星を喰いつくしたあの”物体”に酷似している!

 流艦長も一瞬目を疑う。すぐに我に返り、

「緊急発進!全艦第一級戦闘態勢!」

 <スペースインパルス>は緊急発進する。


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