決戦⑤
「つづけー!!」
ガルムを先頭に装甲兵が宮殿内へ突入する。
広いロビーを突っ切り、三隊に分かれる。
一隊は<ガイア>のある地階へ。残りは司令部のある最上階を目指す。ボッケンとガルムを含む一隊は階段で。もう一隊はエレベーター待ち。
屋上ヘリポートに着地した装甲兵も入口を破壊し階下へ。
不意に装甲兵の動きが止まる。
「!」
階段を駆け上がるボッケンは”殺気に似たもの”を察知する。
装甲兵が発砲。
仲間の装甲兵に命中。爆発する。
「コントロールが・・効かない」焦るガルム。
ビームマシンガンがボッケンに狙いを定める。
ガルムが叫ぶ。「避けてくれ!」発砲。
ボッケンは避ける。装甲兵たちは同士討ちを始める。
「!」
次に異変に気付いたのは上空で待機中の<フロンティア号>の明だった。
「ヨキ!俺をテレポートしてくれ!」
「あの戦いの中へ?無茶だよ」
明はヘルメットを被りながら答える。
「違う。地下だ!ハイパーコンピューター<ガイア>の前だ!」
明は遠隔操縦の装甲兵が<ガイア>に支配されたと判断した。
「それなら・・」ヨキは船の”対ESPシールド”を切り、「グッドラック」
親指を立てる明の姿が消える。
「・・・おいらひとりぼっちじゃん」淋。
テレポートした明は<ガイア>の目の前に。
その部屋は真空だった。ヘルメットが無ければ死んでいた。
ここにも対ESPシールドが張られていたはずだが、よく来れたなと明は疑問に思いつつ
「! こ、これは・・」
100m近い巨大なハイパーコンピューター。それに何かが絡み付いている。
植物のツタか根に見える。
途端にセキュリティシステムが働き、レーザーが発射・・
それより早く明は銃を抜きレーザーを次々と破壊する。
そして銃を<ガイア>に向ける。
ガルムが叫ぶ。
「や、やめろ~・・・あれ?」
装甲兵のコントロールが元に戻った。
ボッケンは階段を駆け上がりながらつぶやく。
「兄き、ありがとう」
宮殿ではロボット兵とパラドックス兵の抵抗が続く。
しかし装甲兵の敵ではなかった。
最上階。
敵の攻撃は無い。ボッケンは一番乗りで司令部に突入する。
「!」
司令部は静まりかえっていた。
無人? いや男性一人と女性二人が倒れている。マッケンジー主席と朱雀とローザだ。
「デコラスは?」
――デコラスの姿は無かった。
代わりにボッケンは何かを発見する。金属製のいかにもといった感じのスーツケース。
陸戦隊員が驚く。「時限爆弾!!」
「処理班を!」 「あと3分!!」
「退避―!!」
ボッケンは刀を捨て、爆弾をくわえて走り出す。
ガルムが叫ぶ。「もどれ!無茶だ!」
驚く装甲兵たちを尻目に猛スピードで駆ける。
「(もっとだ!もっと速く!・・・)」
屋上へ。救護班の啓作とすれ違う。
「!」啓作は一瞬で理解する。
「借りるぜ」陸戦隊からライフルを拝借。
ボッケンはジャンプする。空中でくわえた爆弾を上へ飛ばす。
それをライフルで狙う啓作。発砲。
かすめて命中。爆弾をさらに上空へ飛ばす。
さらに発砲。命中。
啓作は腕時計型無線機に叫ぶ。
「ヨキ!あれをテレポートしろ!」
「え?どどどこへ?」
「できるだけ遠く!人のいない・・宇宙だ!」
「わあった!」
消える爆弾。
宇宙。半分になった<真王星>が再起動する。
ドクタージェラード復活。
「まだいけるぞ。背後からインパルスを・・」
その近くに出現する爆弾。
「!」
大爆発。
地球からもその光景は見えた。
「すご・・」
ボッケンは啓作とハイタッチ。ガルム(の装甲兵)がボッケンに刀を渡す。




