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地球決戦 ースペースマン5-  作者: 本山なお
10/33

シェプーラの星にて④

朝。 

ヨキはボッケンのくれた果実を食べて「こりゃ、うめえや」←泊まった。

「あれ?小鳥さんは?」シャーロットに尋ねる。

「気になる事があって、密猟者のテントを調べに行ってもらってるの」

「あの兄ちゃんは?」

啓作は窓の外を指さす。

草原を走るボッケン。

それを反重力サーフボードに乗る明が追う。

「速い。なんてスピードだ」追いつけない。「シェプーラか・・」

「!」

ズズーン。 遠くで爆発が起こる。

明とボッケンは身構える。 

鳥たちが飛び立つ。ジャングルの向こうに煙が上がっている。


<フロンティア号>コクピットに明が駆けこんで来る。 

啓作が振り向き説明する。

「奴らただの密猟者じゃない」明の撮った写真を見せ「これは惑星改造用プラントだ」

「惑星改造?移民?そもそもこの星は地球の植民星じゃないんだろ?」

「生物のいる惑星の改造には厳しい審査が必要だ。高等生物のいるこの星がそれに合格パスするとは思えない」

そのときピンニョから通信が入る。

『奴らこの星を改造して、生物を絶滅させて星の権利を取得するんだって。星は金持ちに売り、絶滅危惧種になったこの星の生物を高く取引するそうよ』

『何だお前は!』 

『やばっ!』

『捕まえろ!』

通信が切れる。

「ピンニョ!」

明はあせりと怒りを隠せない。

「自分たちの利益のためにこの星の生命を奪うのか!」

シャーロットが「酸素濃度がわずかだけど低下。急がないと!」

「銀河パトロールに任せるか?」既に通報はした。

「それじゃあ間に合わない。<フロンティア号>の修理は?」明が尋ねる。

「応急修理は完了。第一装甲板は自己再生中」

「よし、行こう」


「<フロンティア号>発進!」

主操縦席の啓作が操縦桿を引く。

ドギャーン。宇宙船は垂直上昇する。

それを明はヨキの小型宇宙船(WC-001)の操縦席から見送る。

「どう?操縦できそう?」助手席のヨキが尋ねる。

「任せろ」

こちらも発進する。

「デザインはともかく、扱いやすいな。ん?」

ボッケンがこちらを見ているのに気付く。

【あきら!】ボッケンはジャンプし、

「わ!」 

驚く明を尻目にボッケンはWC-001に飛び乗る。 

「何やってんだ!?」

キャノピーを開ける。ボッケンはコクピット後席へ滑り込む。

「よ!」

ヨキがハイタッチをしようとするが、ボッケンは知らん顔(ハイタッチを知らない)。

「(こいつ、俺たちが何をしようとしているのか分かっているのか)」


「新種か?しゃべる鳥とは珍しい。これも高く売れるぜ」

密猟者達に捕まり、籠に入れられたピンニョはふくれっ面。

「ん?」警報が鳴る。 

「敵か」

宇宙高射砲が動き出す。

接近する<フロンティア号>に狙いを定める。だがそれは囮だった。

WC-001が低空で侵入。

明は引き金を引く。ビームバルカンを発射!

高射砲に命中。爆発する。

【!】 

ボッケンはその威力に驚愕する。

「じゃ!」そう言うとヨキは精神集中する。

密猟者達が気をとられている隙に、ヨキはピンニョの側へテレポート。

「え?」驚くピンニョ。

気づいた密猟者が銃を構えるが、次の瞬間ふたりは消え失せていた。

ヨキとピンニョは<フロンティア号>のコクピットへテレポート。

「エスパーだったの?」ピンニョが訊く。

「ちょっとワケありだけどね」3分しか超能力を使えない。

啓作が「仕上げと行こう。ヨキ、射撃は得意か?」

「おいらが撃っていいの?・・まかされて」

ヨキは主戦闘席に着く。

啓作は操縦桿を倒し、急旋回。

<フロンティア号>は低空飛行で基地に接近する。

対空砲火が来る。

「撃て!」啓作の合図で、

ヨキはスイッチを押す。

船首ミサイル発射!

ミサイルは一直線に惑星改造プラントへ。

命中!これを破壊する。

「やったー」ヨキが歓喜する。

【!!】

WC-001でその光景を見ていたボッケンは終始無言。

【(この星がこれまで平和だったのは幸運だっただけだ。このまま国を閉ざしていては、この星に未来はない。・・いや、そんなことよりもボクは・外の世界を見たい!)】

「おのれ~」

密猟団のボスは何やら通信をする。 

「高エネルギー接近!」シャーロットが警告。

上空より攻撃が来る。 

<フロンティア号>には当たらず、ビームは地表へ命中する。

「黒幕か」啓作がつぶやく。

「衛星軌道上に地球連邦の巡洋艦を改造した海賊船」

海賊船の主砲が旋回、ブラスター発射。

遠くの山が吹き飛ぶ。

「<フロンティア号>に当てるつもりは無いようだ。報復か?いや、何が何でもこの星を滅ぼしたいようだな」

ジャングルが燃え上がる。

その光景を見るボッケンは怒りと悲しみで声が出せない。

「野郎!」明はいたたまれなくなり、「啓作、収容してくれ」

<フロンティア号>はWC-001を収容、そして上昇して行く。 

明とボッケンがコクピットに来る。 

「適当に座って・・無理か」明は啓作と交代で主操縦席へ。

シャーロットがちょっと怖がりつつ「ようこそ」

【・・・]

ボッケンは空いてるレーダー席へ。椅子に座れないので立っている。

「そこで踏ん張れ」

ボッケンは黙ってうなずく。

<フロンティア号>は大気圏を突破、宇宙へ。

【空の上に夜が広がっている!】

初めて見る光景にボッケンは目を輝かせる。

レーダーパネルを見て【(これって何だろ?)】

ピキーン。突然の反応音。驚いてボッケンは飛び上がる。

「敵艦発砲!」今はピンニョが専用席(籠)でレーダーを担当している。

海賊船はブラスターを発射。 

明は操縦桿を倒す。

<フロンティア号>は避けつつ進む。みるみる海賊船が近づく。

明は前を見据えて叫ぶ。

「一撃で決める。ヨキはミサイルでエンジンを狙え!啓作はレーザーで艦載機射出孔を頼む!全砲門一斉発射!」

「了解」 「オッケー」

「発射!」

<フロンティア号>からビームとミサイルの束が放たれる。

あるものは一直線に、あるものは放物線を描き、目標である海賊船に向かう。

すれ違いざまに海賊船のエンジンと主砲と艦載機格納庫を破壊。航行不能に。

【・・・・・】

「重力震キャッチ」

「銀河パトロールのお出ましだ」

「ねえ」ヨキが明に言う。「おいら、この船に乗っていい?」


<フロンティア号>はシェプーラ星に着陸し、ボッケンを降ろす。

「じゃあな。ボッケン、元気で」明が寂しそうに言う。 

【・・・】

明たちは知らないが、ボッケンは掟を破ったため仲間の所には帰れない。その後悔以上に未知への好奇心が強かった。

扉が閉まる前に、ボッケンは<フロンティア号>へ飛び乗る。

「お前?」 

「あきら・と・い・く」 

明は微笑んで、「わかった。歓迎する」

ドギャーン。

新しい仲間・ボッケンとヨキを乗せ<フロンティア号>はシェプーラ星から離れて行く。



 鳴り出した警報が回想を終わらせる。

「表情が穏やかになった」明を見ながら麗子がつぶやく。

「今日はこれまでにしよう」

 Qはそう言うと明の額に手を当てる。

「ふ~」ボッケンは深く息を吐く。

「お疲れさま」麗子が飲み物を渡す。

 明が目を覚ます。

 瞬きをしながら、「ど、どうなった?あれ?ボッケンお前何やってんだ?」

 Qは拘束を解きながら、「何度か治療しないと難しいようだ。副長の言う通り、集団催眠を解くよりも操っている疑似ESP波を妨害するやり方の方が手っ取り早いのは事実だ」

 がっかりする明に、「でも少しは効果あったってことですよ」麗子が励ます。

 その時、艦内放送が流れる。

『<スペースコンドル>帰還。敵と遭遇した模様、敵の追撃に警戒せよ!』

 明が立ち上がる。

「啓作は?無事なのか?」


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